『デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論』

 前著『新・観光立国論』は二年前に読んでいたんだな。自分のブログ記事読んだらだいぶ思い出した。前にニュースでどっかの地方の知事さんか誰かが観光政策?でドラスティックな改革案ぶち上げたらディスられて「これはアトキンソン先生の…」と言い訳していた気がするのだけど。やっぱりかなり重鎮なんだ。

中国が日本のGDPを上回って世界第2位になったとき、「中国の技術力が日本より優っている」「中国人は日本人よりも勤勉だ」などと言う人はいませんでした。人口という絶対数が影響を及ぼしているのが明らかだから

しかし、その一方で、日本が欧州各国のGDPを上回って世界第2位になった理由はという話になった途端、なぜか「日本の技術力が欧州よりも優っている」「日本人は欧州人よりも勤勉だ」という説明になりがち

1990年以降の日本企業の時価総額増加率は先進国最下位です。

 次々と痛いところ突くよね。こんな視点は日本人からはなかなか出てこない。かなりキツい物言いだからかな。一部の人にはよくぞ言ってくれた!と喝采浴びているとも思う。

 でもダマされてはいけない。痛い指摘は私に言わせればまだ生ぬるい。

絶対数のランキングではなく、「1人あたり」で見るべきです。

 政治がとか経営者がとか、アトキンソンさんも責めているが、本音の本音は「日本人、もっとしっかりしろよ」。これは日本人ひとりひとりが自分のこととして考えなければいけないことと思う。

それは経営者が動き出していないし、動くつもりもないからだと考えています。

生産性向上は、経営者によってなされるのが常識だから

 と庶民の味方を演じながら、

自分の分だけ稼いでいればよいのでしょう。「国益」などということを考えているようには見えません。

必要最低限の収入さえあれば、なぜそれ以上頑張って稼がなくてはならないのか。潜在能力をフルに発揮しなければならないという意識は希薄だと思います。

 これも偉い人批判のように見えて実は一般大衆に向けての指摘でもあると私は捉える。日本はまだまだ潜在能力を発揮していないことには賛同する。大好きな日本だからこそする愛のムチだ。やればできる子たちばかりなのに。もっと力を合わせればみんなで幸せになりそうな気もするのだけど。

 日本人に自主性が乏しいのは徳川家康の「百姓はいかさずころさず」ポリシーで長年いいように飼いならされてしまったからではと思っている。サラリーマンはまさにそんな状態だろう。恐ろしいねえ。500年近く前の呪縛からまだ逃れられないなんて。


日本は女性の就業率が高くなっているにもかかわらず、海外と比べて男性がやる仕事、女性がやる仕事がはっきりと分かれている

男性と同じ仕事をして、同じ生産性を上げているにもかかわらず、女性の給料が低いのならば、企業からすれば、女性は利益率の高い人材として重宝されるはずですし、企業の利益率が大きく改善するはず

 ふむ、まったく論理的に正しい。

生産性を上げ、経済成長を続けていく上で移民が必要なのであって、日本のように移民が何かをごまかしてくれるという発想では

 移民は安い労働力でなくスポーツの助っ人外人の扱いでいいはずなのだけどそれでも拒絶反応が起きる。日本で活躍してる有名外国人に風当たりは強いだろうか? そんなことはあまりない。その助っ人をひとりの個人としてみれば「日本人の雇用を奪ってる!」とはあまり言われないのだ。


 私がこの本を読んで認識を新たにしたのが莫大な研究開発費。世界第三位の研究開発費は国のGDPと釣り合ってない。

日本の研究開発には効率の悪い部分が多い」ということでもあるの

 学校とか大学とかいつも予算がない(クーラーもパソコンもぜんぜん入れられないとか不満たらたらじゃないか)とか嘆かれる一方で研究開発予算は潤沢? これはどういう意味なんだろうか。「日本は教育に金をかけなさ過ぎる! 学校教師は過労死寸前!」とよく聞くのだがまったくイメージと違う。学校の教育費と研究開発費は別勘定科目? にしてもヘンだなあ。どこに行ってるのだこの予算は。

 選択と集中で一部のエリート研究が不当に優遇されてる? あるいは配分先が多すぎて足らない? 少子化なのに? とすればおとなの研究機関の数が多すぎるのか? こんなこというのはまた顰蹙買うだろうが、たとえば日本はイグノーベル賞常連。あれ実はしょうもない研究にカネ掛けまくってる証左か?

 理屈で考えれば選択と集中した投資に見合わないそのエリート研究開発(そんなのあるか知らんけど)はある期間で見極めて取りやめにすべき。筋は通っているが、いざ結果の出てないもしくは見通しが悪い研究開発費を「仕分け」しようとしたら猛烈な反対を食らったのは記憶に新しい。そりゃそうだ当事者には死活問題なんだから。

 「2位じゃダメなんですか?」はマスコミの扇動により絶対悪に祭り上げられてしまった。アトキンソンさんも「1位じゃないとダメなんです」と書いてはいるけどちょっと意味合いが違うと思う。1位にすべきものと2位以下でもいいものがあるはずだ。その見極めが効率だし。ゆえに2位以下でもいいものに予算が行っているのか?と疑ってしまうのだが。











デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論
東洋経済新報社
デービッド アトキンソン


Amazonアソシエイト


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック