少佐の記憶-Memoirs of a major-

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zoom RSS 『奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録』(石川 拓治)

<<   作成日時 : 2009/02/08 22:03   >>

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 本の最後で図らずも箱船を造ったノアになぞらえられた山の上の賢者、木村秋則氏。私はむしろこれは「風の谷のナウシカ」の物語だと感じた。腐海に生息するヒトを喰らう奇怪なムシや瘴気を吐く草木は、地球を浄化するために存在していた。自然界にとって、人間こそが害虫に他ならなかった事実。


 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取り上げられ、改めて単行本にまとめられた「奇跡のリンゴ作り」のノンフィクション。植物生態学、複雑系科学、アニミズム的宗教観、人材育成、企業家精神、様々な読み方が出来る本だ。更には、宇宙人に拉致されたとか、声を掛けなかったリンゴ木だけが枯れてしまったみたいなスピリチュアル話も楽しめる(?)。難を言えばノンフィクションライターであろう著者石川氏の文体か。私の敬遠するマスコミ文体だ。ちょっとクサい(爆)。

 有機栽培の野菜は確かにおいしい。特に農薬はおろか究極まで肥料をやらない永田農法は、ほったらかしとは全く違い、実に手間の掛かる農法である。枯渇して根が枯れぬよう、同時に水をやりすぎて根が腐らぬよう、四六時中トマトと対峙し続けねばならないそうだ。SKIP(ユニクロの野菜販売)で売っていた甘いトマトが懐かしい。今まで食べてきた野菜と称する有機体がいったい何だったのか、途方に暮れるくらいだった。

 リンゴ栽培者の常識として、農薬をまかずにリンゴを栽培することは不可能らしい。だが「まえがき」最初の数頁を読んですぐ不思議に思ったのが、「んじゃ、なんで自然界の木の実はほっといてもなるのさ?」 例えば柿なんて基本的にほったらかしでも毎年実がなるものだ。やはりそこがキーだったらしい。そんな自然の摂理を理解するまで、木村氏は辛酸をなめ尽くした。死に場所を求めて入っていった山で "リンゴ" の木と出会うセレンディピティーがこの本のハイライトである。むろん、そこからがまた一苦労だったのだが。

 狂気と天才は紙一重というが、どう考えてもこの木村さんという人はイっちゃってる。歯ぐらい治せよ(なぜそうなったかのエピソードも凄すぎる 笑)。リンゴが採れなかった時期、雑草を煮て飢えをしのいだなんて現代日本で考えられない生活だ。でも奇跡を成し遂げられたのは、狂気でも超自然でもなく科学の心だったと思う。対処療法で行う近代科学の問題解決は多くのことを見逃してしまう。自然をバラバラに分解するばかりではものの本質は見えてこない、という本来科学が持っていた精神への回帰的な主張は池谷裕二先生も書かれていたことだ。

 命は一つの生命に一つだが、他に依存せずその個体だけで生きている生き物はいない。森羅万象の全てを司る大いなるシステムが組まれてる。それは人類には解明できない永遠の謎かも知れない。そして生命体の中には、DNAみたいな物質とは別になにか "芯" みたいなものが存在するのを感じずにはいられない。やっぱりそれは "魂" なのかな?

 いつか私もこのリンゴ畑を、咲き誇る一連のリンゴの花をこの目で見て、何かを感じてみたい(とりあえず番組のDVD借りなきゃ)。そういえば木村さんはこの本の表紙で青き衣を身にまとっていたな(笑)。








奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
幻冬舎
石川 拓治

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
木村さんの話はテレビで見た事があったのだけど 本になってたんですね〜成功したから奇蹟と言われてるのだけど 成功する前に倒れてしまっていたら 多分 他の人からは バカだのなんのと罵られていたかもしれないなぁって思うと ホントに苦労が報われて良かったと他人事ながらホッとした覚えがあります。去年 農家のお客さんの畑に行った時 無農薬の難しさを聞いたのだけど それをブログに書いたら大学で農業を学んだ方から貴重なコメントをいただいた。キャベツなんかは虫に食われるとそれ以上食われないように キャベツ自身が毒素を出すんだそうです。だから最低限の農薬は必要なんですって。だからきっと 絶対不可能と木村さんは言われ続けたんでしょうね。それでも可能にしちゃったとこが奇蹟と言われる所以なのかなぁ・・
 
のの ☆
2009/02/08 23:45
続きです。長くなってごめんなさい
ガイアシンフォニー1番(自主映画)に出てた無農薬で1本のトマトから1万3千個のトマトの実をつけた野澤さんの話も思い出した。http://www.gaiasymphony.com/1_cast.html#nozawa もし機会があったら映画を見ていただけると その壮観さを感じていただけるかも♪
「トマトには心がある」そう言った野澤さんの言葉が印象的でした
この木村さんのリンゴ 食べてみたいですよね
のの ☆
2009/02/08 23:47
キャベツの話はすごいですね。木村さんの件も、ようやく実ったリンゴが食べてみたら毒リンゴで…なんて悲劇的結末だったら、それはそれでとてつもない文学作品になったかも知れない(悪趣味?)
それはさておき、奇跡のリンゴを食べるのは(話題になりすぎて)今のところムリっぽいけど、本に寄れば木村さんは、後継者をあちこちで指導しているそうです。そんな人たちがたくさん育ってくればチャンスはありそうですね。木村さんの理想は、そういうリンゴが当たり前になることらしい。偉人だなあ…うるうる。
「地球交響曲」って知らなかったけど、なにやら面白そうですね。レンタルビデオとかじゃ見れないだろうか?
少佐
2009/02/09 18:52
あそこまで有名になったら やっぱり木村さんのリンゴは無理ですよね(*^^*ゞ でもホントにそういうリンゴが当たり前のように食べられたら・・って思います。何年かかるかはわからないけど。私その頃って生きてるかなぁ・・←50年ぐらい先だと思ってるかも
私のブログのhttp://yumenono.at.webry.info/200810/article_2.html この記事のコメントで安兵衛さんって方がキャベツの話をしてくれました。ちょっと驚きですよね。野菜にも意思があると思えてなりません。
のの ☆
2009/02/10 00:51
また長くなってすみません。
地球交響曲は自主映画なので 一般のお店には置いてないんです〜DVDの販売もしてますが 6巻までそろえるとなると・・・金欠病の私には無理〜(┯_┯)
・・と言いながら 上映会は石川県ではほとんどなかったので 私は富山や岐阜や東京まで日帰りで見に行った事もありました。何回でも見たいです。とにかく映像も音楽も素晴らしい。大きなスクリーンで見るのが1番かな
来月 石川県では「西田 幾多郎記念会館」で三番があるので休みが取れればまた行きたいなって思ってます
去年は東京では毎月 どこかで上映されていたんですが・・今年はあまりないようですね
http://www.gaiasymphony.com/index.shtml
上映スケジュールにのってないだけかも。
のの ☆
2009/02/10 00:52
きっとリンゴは直に食べられますよ! 記事へのURLありがとうございました。コメント欄で熱き討論されてたんですね。じっくりちゃんと読まないと中に入って行けそうにないな(もう時期逸してるし)。
地球交響曲もよさそうですが、私は「西田 幾多郎記念会館」ってのがむしろ気になったんですが(笑)どんなんだろ?
少佐
2009/02/11 00:12
あらら、そんなにスゴイ話なのか・・・ 知りませんでした。
近頃は「無農薬」とか「オーガニック」とか聞くと、最初に「トンデモ系」ではないかという疑念が生まれてしまうので、無意識に避けていたのかも(笑)
うーん、これもお買い上げしてしまおう・・・
彩季堂
2009/02/11 12:23
うーん、四でソンはないと思うけど、もとい(ATOKしっかりしろ!)、読んで損はないと思うけど、トンデモ本とすれすれの線なところもありますよ。幻冬舎がノンフィクションライターに依頼して書き上げさせた企画ものですからねえ(藁)
少佐
2009/02/11 12:45
なにしろ幻冬舎ですからね(和良)
トンデモ本ならそれなりに楽しみますので大丈夫(獏)
彩季堂
2009/02/11 13:24

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