少佐の記憶-Memoirs of a major-

アクセスカウンタ

zoom RSS 美術館の春まつり(国立近代美術館)

<<   作成日時 : 2017/04/08 21:53   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 2

 国立近代美術館でちょくちょく開催される無料開放デー。タダより安いものはなし、ということで今回もホイホイ便乗してきた。桜もまだ三分咲き程度の4月2日(日)。そもそも我々の血税で作られた施設、もっと利用しましょう!


 ちょくちょく利用させてもらっているので正直再会作品も多い。村山槐多とか…、おいおい府中で金払って二度見にいったフジタもここではタダで見れるじゃねーかよ。しかも写真撮影もオッケって…。

 以前ブリヂストンで見た安井曾太郎の「金蓉」にまた逢えたのは予想外! これで充分に元は取れた(って、タダか)。ブリジストンの記事でもだいぶあれこれ書いたのだが、更に観察して気付いたことをあげてみよう(今読んでる本の影響である)。




安井曾太郎 《金蓉》1934年
 自信に満ちた凛々しい横顔に短い黒髪をなでつけて、木製の肘掛け椅子に足を組み腰掛けるのは当時才媛として知られたご令嬢。だが絵の大半を占めるのはむしろ落ち着いた濃紺のチャイナドレス。その色合いが彼女の頬紅と口紅の紅を際立たせる。わずかに見える足元の裏地の花の刺繍(?)もより鮮やかにする。

 肘掛けと膝の上で組んだ両腕の交差線に美へのこだわりが垣間見える。キャプションによると左肩が不自然に下がっているらしい。交わる各所の線とのバランスを考えたものだろう。座る椅子の各パーツの角度も計算しつくされている気がする。

 前回得た情報で、画家は本人を目の前にして制作したのではなく、数枚のスケッチを取らせた後モデルは帰国してしまい、不在のまま各所の部分デッサンを組み合わせて統合していったそうだ。しかも彼女はそもそもチャイナドレスを着てポーズを取ってくれたわけでもなかったらしい。全体に漂うどこか作り物めいた印象はそんなところから来ているのかもしれない。

画像



 ここに貼り付けた写真自体、斜向いからスマホで撮って菱形に歪んだものをSnapseedで補正を掛けて形を整えたものである。現物とはまた細かい部分の寸尺が違うかもしれない。

 女性の背景はモディリアーニの様に愛想のない単色の壁である。ただ部屋のコーナーに陣取っているらしいことは左右の壁の色合いが若干変わっていることから知れる。影が向かって左側にうっすら落ちているので、光が右から当たっていることもわかる。フェルメールと逆だ。

 …難しいな。「自信に満ちた凛々しい横顔」なんてのはその絵が描かれた背景の情報を知った上での主観的判断である。「美へのこだわりが垣間見える」とか「計算しつくされている」も客観的な事実ではなく単なる私の主観というか妄想に近い。こだわりや計算が具体的にどこにどう表れているのかをもっと見つけないといけない。とはいえ「背景」も「思い込み」もなしで絵を鑑賞するのはちとつまらないのよね。


藤田嗣治 《アッツ島玉砕》1943年
 年に何回見るんだろうか…。そうしょっちゅうお目にかかるべき作品でもないと思うのだが。胸が締め付けられる。


ポール・セザンヌ 《大きな花束》1892-1895年頃
 こんなのも所蔵していたんだ。静物画で知られるセザンヌだが、色とりどりの花瓶の花束を溢れんばかりに描くなんて珍しいかも。にしてはゴチャゴチャしてるかな。オディロン・ルドン《グラン・ブーケ(大きな花束)》の向こうを張ったか? って、あっちは1901年制作だから逆だっつーに。

画像


パブロ・ピカソ 《ラ・ガループの海水浴場》1955年
 過去の思い出を回想したような雰囲気の絵。ポーラでこんな作品見た気もするのだが、別物かな。ピカソはそんなんばっかだし。一見デタラメな絵だけど(二度見してもデタラメかも知れんが)、やはり各種の方向線が伝統的な遠近法の原理から外れていない。人物の大きさの関係性はバラバラ(カップルがデカすぎる、食堂の人たちが小さすぎる)で統制が取れていなくとも、彼らはそれぞれ画家の回想の中で、別々の時間、別々の場所での別々のエピソードの中で生きていたものなので彼ら同士に関係性はないのだ相対性理論。そうそう、この世界観はシャガールに似てるんだな。

画像



 見てたかもだけど、石田徹也もここのコレクションに加わったんだ。あの作風から、「自分の作品が国に保管される」事を彼が知ったらどう思っただろうか。













テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
無料開放日、行かれたんですね。「無料」の文字には弱いので、狙っていたのですが、当初は予定していなかった「碗の宇宙」も見たくなり、無料開放の日は混雑する・・・と思ってやめました。込み具合、いかがでしたか?

藤田を見れのですね。企画展と分けて見た方がいいのかも・・・ 無料開放の日に、行っておけばよかった・・・
コロコロ
2017/04/12 14:24
コロコロさん
いやあ、タダってほんとうにいいもんですね〜。しかも写真まで撮れちゃう。
混雑はそんなでもなかったですよ。ここぞとばかりにバシャバシャ写真撮りまくる人もそれほどいなかったし。落ち着いて見れました。
むしろ美術館の周りが交通渋滞してたみたいで、お堀をめぐる「さくらカルガモ号」ってミニバスに乗れなかったのが残念です。
http://kanko-chiyoda.jp/tabid/3609/Default.aspx
少佐
2017/04/12 20:00

コメントする help

ニックネーム
本 文
美術館の春まつり(国立近代美術館) 少佐の記憶-Memoirs of a major-/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる