岸田劉生展(東京ステーションギャラリー)
不気味な麗子像でおなじみの劉生さん。ただほんものの「麗子像」をじっくり目の当たりにする機会は意外にない気がする。かくいう私も一昨年東京国立博物館で「ん?かわいいんじゃん」と認識を改めたばかり。
*東京ステーションギャラリーのHPで作品リストがDL出来る。制作日付まで入ってるのは初めて見た
《画家の妻/The Artist's Wife》1914年8月18日
最初に目に留まった作品。おっとこ前やん。あの「麗子さん」の母親にしては似てないな。いわゆるモナリザの構図を取っている。というか微笑んでいないからコローのモナリザ(真珠の女)に近い感じ。いや夢想的なコローに比べてキリッとしてる。あまり日本の女性的でない顔というか表情に見えた。
肖像画って面白いよな。ピカソなんてナンパ目的で下心ミエミエ。そこまではないにしてもモデルとの対話であった。岸田氏のは、エロい心はなくても、家族や知り合いをモデルにすることが多かったのだから、モデルとして純粋な客観描写はできなくて、私情がかなり入るのではないか。
《画家の妻/Artist's Wife》 1915年1月10日
もひとつ同じ標題の作品がある。大原美術館にあるものらしい。こちらは横顔。東洋人の横顔はフラットフェイスであまり映えないね。ところで画には 岸田氏が Portrait of Shigeru と描き入れてあるのに英題が Artist's Wife になってるのはなぜなんだろ。
《林檎三個/Three Apples》 1917年2月
台の上に銀色の林檎が三つ静かに横一列に並んでいる。どんな縮尺で描かれたのかわからないが妙に小さく見える。それぞれのリンゴは岸田家の三人を表しているとかなんとか麗子さんが後に仰っているらしい。
他の後期作品でも頭と体がアンバランスだったり、カボチャが妙に大きく見えたり、絵の中の大小の整合性をあまり気にしてなかった人なのかなという気がする。
《壺の上に林檎が載って在る/An Apple Exists on Top of a Pot》 1916年11月3日
🍎形而上的なモチーフでジョルジョ・デ・キリコ(1888年-1978年)っぽい。キリコが形而上絵画を描くようになったのは1910年代らしいから参考にしたところはあるんだろうか。いや僕は禅の境地を描いたんだよとか言われそう(クリスチャンなのに)。
《静物(手を描き入れし静物)/Still Life (with Hand that has been Erased)》 1918年5月8日
けっこう力入れて出展したのに審査員にはいたって不評で、「マジックみたい」と言われたようだ。なるほど、左右赤緑の派手な幕、玉乗りの玉みたいな林檎が点々とする様子はマジックショーの舞台みたいに見えるよ。正しいじゃないかwww。
《麗子八歳洋装之図/Reiko, Eight Years Old, in Western Dress》 1921年9月27日
洋装の麗子さんってのもあったんだ。珍しく笑顔である。おしゃれできてうれしかったんだろうか。着物を着た麗子さん作品は、モデルとして長時間正座させられて休憩もさせてくれずかなりきつい思いをしたと後年漏らしていたそうだ。着物は窮屈でもあったろうし子供にとってじっとしている事自体嫌だったろうな。
ちょうどおかっぱ髪型がNHKのチコちゃんに見える。またいくつかの作品は長谷川町子美術館所蔵になっていて(なんでだろ?)、とするとワカメちゃんの原型なんだろうか。

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