『キュレーションの時代』(佐々木 俊尚)

 情報過多の今の世の中にあって、役に立つものと立たないものの区別を付けるのは至難の業。ましてやインターネットの海は憶測やデマも飛び交う魑魅魍魎の住処。何を信じたらよいものか途方にくれる。そこで頼りになるのはあの人が言うのだから間違いないだろうという、やはり人的繋がりだった。そんな水先案内をしてくれる人がキュレーター。

 もちろん信じていた人に裏切られることもある。好みが変わって付いていけなくなることもある。そもそもそんな運命の人にそううまく出逢えるのか。だが考えてみればリアル世界の処世術とそれほど変わることもない。そもそもネットに「中の世界」なんてないのだ、とは私がいつも肝に銘じていること。

 ネット=引きこもりみたいなイメージがあるが、私はまったく逆だ。むしろ前より外の世界に出るようになった。普通に暮らしていたらまず出逢えなかっただろう人脈や情報の恩恵は計り知れない。それでも私はやっぱり古い人間なのか、タコツボ化の危惧は拭えない。まだ漠とした不安を覚える。

 大事なのはネットワークのおかげでこれまで考えられなかった縁が始まる、そして自分も誰かのキュレーターになれること。いやネットの恩恵に預かるならなんかしら貢献もしなければいけないと思う。これからはキュレーションとググレカスのせめぎ合いの時代になるのだろう(?)。


 触れたいエピソードは山ほどあれど、私のわかったような戯れ言よりもここでは電子書籍のテクニカルな感想の方を求める人も多いかも知れない。取り急ぎ以下その辺の雑駁な感想。

 前に書いたようにこの本はパブーでDRMフリーのPDFとePubのフォーマットで販売された。恐らく新刊同時では前代未聞だろう。デジタルコピーの氾濫は出版側が電子化を躊躇う理由として一番に上がるものだが、果たして業界はDRMフリーを怖がる必要があるのだろうか。コピーをばら撒くにしてもすぐ足がつくからおおっぴらには売れないし、紙の本だって読み終われば古本屋にも売られ、人にあげたり回し読みもされる。そして、事実としてDRMフリーで出されたこの本はよく売れている。

 スマートフォンで一冊まとまった本を読むのは初めてのこと。自分でもうまく説明できないのが、PCの画面では目が痛くなるのに、スマホの小さい画面のせいなのか(*1)、特に目が疲れることはなかった(キンドルには負けるけど)。

*1 ちょっと説明がいるか。つまり、画面が小さい分モニターから目に照射される光の量が少なくなるため、目へのダメージが減るのではという仮説。

 思った以上に快適な体験だった。混んだ電車の吊り革に掴まっていてもポケットから取り出して片手で読める。仕事サボッてトイレでも読めるw(前に文庫本持ち込んだら暗くてうまく読めなかた)。参考として紹介されるDVDの情報も検索してその場でレンタル可。今のところePubは横書きのみ(?)だが、実用書のせいもあるのかほとんど気にならなかった。

 ただし、アンダーライン、書き込み、検索など…、リーダー(アンドロイド端末でブクログ推奨の StarBooks を使った)の使い勝手を言えばキンドルの足元にも及ばない。フリーソフトだから仕方ないかも。なにかよい android リーダーアプリがあればどなたかご紹介頂きたく。いっそのことSony Reader 買うのもひとつの手なんだけどね(*2)。

 もうひとつ無理な注文(?)をあげると、あとがきによればこの本は2010年10月28日に執筆終了したようだ。だが発売されたのは2011年2月9日。なんなのだこのインターバルは? ってまあ印刷工程考えたら当たり前なんだどw、気の短い私は11月にはリリースしていて欲しいと願う。電子出版なら普通に可能じゃないか。

 当然紙の本(出版社)に遠慮したんだろうが、それなら先行プレミアムで紙の本発売までは倍の値段にするとか。買う人は買うよ。でもそんなことすると先にコピーが出回るか。あれ?さっきまでの話と矛盾するな(笑)。フリー戦略でいけばむしろただで配ってばら撒かれた方がいいのか。うーん、難しいな。どの戦略が一番効果的なのか今の私には判断できない。佐々木さん、次作で実験していただけないだろうか?(笑)

 またパブーは印税70%!を売りにしてるけど、この本もそうなんだろうか? (佐々木さんもこのページご覧になるかもしれないのに)まったく大きなお世話だが、後に続く人の励みになれば…とか思っていたら一部ご本人から情報公開がw。今日紙の本は2万部を超えたらしい。

 パブー版は1000部を超えた。まだ伸びるだろうけど、やっぱり電子書籍のシェアは紙版の10~20%になるのかな。逆転する日は来るのだろうか。この辺の損得勘定も気になるなw。ほんと面白い。今後の動向(実験?)目が離せないぞ。



*2 <緊急追記>
 なんとかキンドルで読めるようにならないかな、とふらふらググッていたら、calibre(カリバー)というシェアウエアで可能らしい!

calibre - E-book management
http://calibre-ebook.com/

 (トップページにある使い方のビデオをちょっと見たほうがいいかな…ビデオは全部英語だけどインストール後、アプリの操作言語は日本語にも設定できます)ダウンロードして、Kindle仕様の設定をし、『キュレーションの時代』等ePubのファイルをMobiに変換する操作をすれば即キンドルで読めるようになる!(ただしDRMフリーでないとダメみたい) おおお、私のキュレーター様ありがとうございました!

 確かに読めます。ロケーションは全3560になっている。お、文字もおっきく出来る! アンダーラインも引ける! ノート書き込みOK!(キンドルは日本語入力は出来ないのでアルファベットならね)。検索はムリですね。でもここまで出来れば御の字だ。

 ただ一つ気になるのは、今後ePubは縦書きにも対応するそうだけど、Mobiは縦書きになるのかな? 縦書きePubが主流になった時どうなるか。ああもうややこしい…。











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