『だから古典は面白い』(野口 悠紀雄)

 寝ても覚めてもコロナである。こういう時は軽いエッセイでも読むに限る。この本で扱っているのはそんな軽い読み物ではないけれど。野口先生とは親子ほどに歳も離れているのに紹介される本はどれも私も親しんだものばかり(『戦争と平和』みたいに名前だけ知ってて読んでないものも多いけどさ)。久しぶりに気の合う文学談義を聞いた気分。


 そんな中でも野口先生のご意見に賛同できなかったのが、H・Gウェルズの『宇宙戦争』評。

彼らの実践する道徳がいかに残酷であるにしても、知性の原則に反している

 むしろそっちのほうが自然じゃないかな。これもコロナの今だからこそ感じるのかも知れない。ウェルズは火星人の着想を何から得たのかわからないが、ペストみたいな傍若無人に振る舞う残虐なウイルスじゃないかと考える。ウイルスに知性なんかない。情け容赦もあるはずがない。

 これはスピルバーグの映画を見ていて感じたことだ(原作ってオレ読んでるのかな?)。



 それが自然の脅威というものなのだ。無理に人間寄りにする必要はない。あのあっけないオチも自然の摂理を強く感じる。

*ちなみにAmazonレビュー見ると「あのオチはひどい」みたいな一つ星レビューが目立つ。原作通りなんだけどもうそれを知らない世代も多いんだろうな。そうであっても現代風にアレンジすべきという意見かもだけど。



(指輪物語)そして、トールキンはシェイクスピアを超えたと、私は思います。

 『指輪物語』をそこまで評価されるのか。なんどかトライしてどうしても読み通せない。やっぱ読むべきなのかなあ。

 先生はSFファンでもいらしたようで、もはや絶版になっているものも多いのだが、SF名作ガイドも紹介してくれている。

これはUnlimitedに入ってた



 そもそも野口先生は古典が蔑ろにされつつある現状を憂いてこの本を著されたらしい。

本来であれば、古典をこそ紹介すべきなのです。それは商業的な利益には直接結びつかないかもしれませんが、

 でもたとえばポピュラー音楽を考えるとサブスクの今だとビートルズなんかのクラシックは下手すると若手の音楽を蹴散らしてるよね。ミステリーもそうかも。その年のベストセラーはしばらくの間本屋の棚を賑わすが、結局いつまでの残るのはクリスティーだ。十分商業的じゃないか。

 過去の優れた古典が、外国語で書かれていても、母国語でも現代人にはもはや理解できない古語であっても、昨今のテクノロジー進化により誰もが容易に親しめるように今後ますますなるかも知れない。そしたらますます同時代の作家の出番は減るのではないか。そんな妄想もわきあがる。


だから古典は面白い (幻冬舎新書) - 野口 悠紀雄
だから古典は面白い (幻冬舎新書) - 野口 悠紀雄

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント