『インフルエンザ21世紀』(瀬名 秀明)

 この二ヶ月、明けても暮れてもコロナである。ブログ更新も随分滞ってしまった。「この広告は更新されないブログに表示されます」が出たのも初めてだな。美術館訪問記もむろん書けないし、かといって本も気が散ってさっぱり読めない。

 料理の腕は上がったかな。運動不足でそれほど太りはしないものの体力低下が著しい。筋トレはしているんだけどやっぱり歩かないと持久力つかないね。緊急事態宣言が明けて以降たまに会社行くと痛感する。

 そんな中でなんとか読了した一冊。『パラサイト・イヴ』で有名な瀬名秀明さん。力作である。小説より好印象である(?)。各著名人がコロナに関してあれこれSNSなどで発信している中、瀬名さんの見解も聞きたいなと思っていたのに、どうもブログもツイッターもやっておられないようだ。と思ったら豚インフルの時にはこんな本を出されていたのね。

 正直、埋もれていた本だと思う。Unlimitedになっていたから読んでみた(6月で終わっちゃったみたいスマソ…)。扱っているのはインフルエンザだが、ほぼ現在のコロナ状況でも通用するレポートだ。文中に出てくる「専門家」の方々もいま現在活躍されている著名人と重なるところが多い。もちろんもともとその道の権威であったから今回も政府筋から助けを求められたんだろう。

 読んでいて気になったところは、

一九九四年以降、日本におけるインフルエンザワクチンの接種率はどん底にまで落ち込ん

 この記述が何回も出てくる。Kindleの検索機能で調べてみたら4回? 「(インフルエンザワクチンの)落ち込み」という記述が使われている。トラウマになっているのだろうか。

 そのワクチンがないことが今回の世界的な騒動の主な要因になっている。しかもワクチン拒否傾向の強い(?)日本の被害が一番少ないというのも皮肉なものだ。

なぜアメリカ国民が1918年、パンデミックにあれほどまで無関心だったのだろうか、そして、なぜアメリカ国民は、その後ああまで徹底的にあのパンデミックを忘れてしまったのだろう

 これも今読むと味わい深い。もともとパンデミックへの恐怖は欧米に根強いと聞いていたのに、今回の件ではやはり甘く見ていたのではと捉える他ない。もっとも、日本はもっとのほほんとしていたと思うのだが、どうしてこんなに被害が少ないのか??

 とにかくよくわからない。お役所の発表数字の定義はコロコロ変わるから、トレンドを見ても傾向が掴みにくい。世界のデータと比べても、やたらめったら検査している国と日本のようにある程度怪しい人に絞って実施している国の数字では一票の価値ならぬ陽性者数の重みがかなり違う。緊急事態宣言が明けて今現在東京の陽性者は着実に増えているが、これも無症状のひとたちにも積極的に検査対象をひろげたせいもある。数ヶ月前の陽性者100人と今の100人とでは単純比較は出来ない。

 また、世界的傾向を見ても陽性者の数はまだ増加傾向だが、死者の数は落ち着いてきているようだ。これは悪い意味では高齢者など抵抗力の弱い方々がもう死にきってしまった(ひどい言い方だが)ことや感染者対処の方法が最初期のパニック時からややわかってきたからなどの要因もあろう。いわゆる集団免疫を獲得したのかどうかはよくわからないな。

 目に見えない脅威という意味では震災直後の放射能パニックと同じだ。しかしあの時の騒ぎに比べると(単純比較なんかするのは当事者の方々にとても申し訳ないのだが)直接の死者の数ではコロナの方が圧倒的に多いにも関わらず比較的冷静に対処している人が多いようだ。「1ベクレルも容赦できない!」の声も珍しくなかった放射能アレルギーに対し「私はもうコロナ第二波への備えをしている」のように避けられないものとして捉えられている。

 これは恐怖に対する想像力の問題ではないかと考える。何から何までよくわからない放射能の(十万年?後の)どうしようもない脅威と今現在具体的な数値としてある程度怖さが見える新型ウイルスでは、前者の方が人に妄想を引き起こしより不安と恐怖を与えるのではないか。

 それにしても、はて、いつまでこの状況が続くのか。数年後にみんながマスクをしてソーシャルディスタンスをしている様子のビデオとか見て「ああそんなこともあったねえ」と笑いあう日もいつか来るのだろうか?

 いつかはコロナ禍も終わるだろう。あっけないくらいに。永久に生物を喰らい尽くすウイルスなんてものは地球の歴史上存在しないようだから。ただひとつ、地球を食い尽くす勢いで増殖し続け、まだ止まる気配のないバイキンはニンゲンくらいのものだ。


インフルエンザ21世紀 (文春新書) - 瀬名 秀明, 鈴木 康夫
インフルエンザ21世紀 (文春新書) - 瀬名 秀明, 鈴木 康夫

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