マンガ「Dr. STONE」(14巻まで)

Dr.STONE 14 (ジャンプコミックス) - Boichi, 稲垣 理一郎
Dr.STONE 14 (ジャンプコミックス) - Boichi, 稲垣 理一郎

 思えば子供の頃、『冒険手帳』などを読んで誰もいない無人島にひとり残されたらどうやって生きていけばいいんた? なんて妄想をよく仲間としていた(どんな状況だよ)。

 「Dr. STONE」を読んでこんなに熱い気持ちになるのも、そんな子供時代の冒険心をくすぐられるからなのだろう。久々にこんなにハマった漫画はなかった。毎回展開にびっくりしたり号泣しながら読んでいる。わかる、わかるぞぅ。科学少年だった頃の熱い思いを思い出す。すっかり忘れてしまっていたんだよ!

*14巻までの感想です。 内容に触れています。また単行本でしか読んでいないので本誌連載ではすでに私の疑問や予想に回答が出ているのものもあるかも。

 一番ハッとさせられたのは「科学は暴力と破壊を生み人を不幸にする」また「この地球でもはやもはや70億もの人口は絶対に支えられない」と人類の間引きを主張する司や氷月に対する千空の返し「70億人支えきれねえなら70億人支える手を70億人で探しまくる‼︎」。そうだ、そうなんだよな(また号泣)。

 最初このマンガを知ったのは Twitter で私のタイムラインに科学(化学?)使いのみなさんが激賞していたのを見て、ちょうどジャンププラスで数話無料公開していたのを数話読んだのがきっかけだ。

 ふーん、とその時はそれっきりになってしまったが、その後最近1~2巻限定無料公開があったのかな? それを読んで更にアニメ版が Amazon PRIME で公開されていたのを見てからすかりハマりこんだんだよ🍉!

 最初数話読んだ時は大樹が主人公だと思っていた。いざまとめてアニメや単行本を読んでみると石神千空こそが主人公であったのか。これは岡田斗司夫さんが



で言っていたように当初はわかりやすキャラの熱血キャラ大樹を中心にして恋愛やギャグ多めにし、果たしてガチの科学ストーリーがジャンプの読者に受け入れられるかどうかを徐々に見極めていたのではないか。

 だがそれは杞憂だったようで、打ち切りなど無論なく、今やAmazonのマンガ売上ランキングを見る限りジャンプの中では「ONE PIECE」、「鬼滅の刃」に次ぐくらいの売上のようだ(この2作品とは桁違うかも知んないけど)。

 ひところ「子どもたちの理系離れ」が言われていた(なんでも「○○離れ」ってするの好きじゃないけど)。あまりに世の中の技術が複雑で専門化しているので、オカルトみたいな神秘性に惹かれる危うさも感じていた。「世界はこうして出来ているんだ(自分で作れるんだ!)」を実感して科学王国の復興を志す子どもたちが増えればと思う。

 もちろん、この作品はあくまでジャンプマンガであり、元ネタである『この世界の作り方』(未読)や学研科学まんがと狙いどころは同じではない。ただ科学知識の披露をしたいだけのオタク話ではないはずだ。科学=人間の受け継いできた知識や技術という位置付けなので、本筋としては初期のジョジョと同じく人間賛歌を描きたいはずだ。「イラねーよそのくだり」と千空にバカにされそうだが。

 実際「Dr. STONE」にはかなりジョジョへのオマージュが見受けられる。最初に気づいたのは、最後の氷月との戦いで千空がトチ狂って「こっちに来るな〜!」と無様に(見せかけて)小石を投げつけるシーン。あれはジョセフ・ジョースターとワムウの戦いで出てきた。

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 司帝国に向かうケータイ運び隊とそれを跡から追う千空たちで偵察のほむらを挟み撃ちにするのもDIOとの決戦時のポルナレフと承太郎たちに前例があるじゃないか。

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 戦闘力とか各キャラクターのスペックを提示するのもジョジョだ。腕力をむやみにふるうことを嫌い決して人を傷つけない馬鹿力の大樹はスラム街で相手に殴らせるままにしていたジョナサン・ジョースターを思わせる。

 そもそも「ストーン」(石)というところからやはり石仮面を思い出さざるを得ない。あ、「科学使い」という表現も「スタンド使い」に通じるんだよ!

 他のマンガからは、たとえばスイカの原型はアラレちゃんかな。いちおうメガネキャラだし、「〜なんだよ!」は「アラレだよ!」から来てるのかな。かわいいポーズ「両手を広げて片足を上げる」のは「キーーン!」。実際小枝にウンチ付けて走る扉絵が第109話で描かれている。

 計算されたストーリーライン。読めば読むほどものすごく後の展開を考えて作られてるのがわかる。ケータイ作るのも早い段階で伏線張られてるし、「発電所を作る!」と言ったときも「火力? 風力? まさかの原子力発電??(実は腕力発電w)」と並べ立てる中で後に登場する水力発電はその候補からこっそり外されていた。

 キャラの特性も見事に描き分けられ、それぞれがその持ち味を活かして有機的に活躍している。見事なチームワーク。あのキャラとこのキャラの能力を使えばこの難関を乗り越えられると適材適所を行う。例)14巻で石化されたカセキが海底の砂に埋まって重くて出せない!←なら力持ちの大樹をまず起こして手伝ってもらう!とか。

 チームで戦うマンガは過去いくらでもあったが、こうした互いの持ち味をこんなロジカルに活かし合うコンビネーションタイプはちょっと思い当たらない。前はよく「人気キャラ読者投票ランキング」みたいなのやってたけど最近はもうやらないのかな。どんな順位になるのか興味がある。

 このあたりから考えるとサルファ剤やケータイを作る時に登場したロードマップは作者がこの物語のストーリーラインを作る時にも活用されていると思う。この原料からあの機械の部品が取れるなとか、あの工作品の部品が次のあの工作に使えるなとかの流れに実はそっくりだ。

 まさにコネクティング・ザ・ドット! それぞれが時に化合物となり、触媒ともなる。有機的な繋がりがコロコロ転がっていく展開が唆るぜ。13巻あたりからの銀狼の使い方もうまいよね。ヘタレキャラがここぞという時に力を発揮するのは「ドラゴンクエスト」のポップに代表されるジャンプの伝統。

 物語中、あまり人を殺さないのも好感が持てる。「ドラゴンボール」は死者を簡単に甦らせすぎて批判された(あれはロールプレイングゲームのノリなんだけど)。あるいはおなじみ「死んだと思ったら実は生きていた展開(cf. 「リングにかけろ」や「魁男塾」←例が古い)」も頻度が高いとけっこうどっちらける。その点、石化(事実上の死亡状態)を解いて出し入れ(笑)させるのはうまい解決策だ。

 作画の韓国のBoichiさんは在日の方なんだろうかと思ったが、奥付けのメッセージを読むと翻訳調なので日本語はできない気もする。日本の文化をよくわかっていないと日本の読者にウケる作画もできないのではないか。

 でもそんなハンデは感じさせない。たとえば日本マンガ特有のマン符や擬音やギャグ表情(ネコ顔とか(ΦωΦ))普通に使いこなしている。出てくる美女も日本の美少女萌絵キャラだ。原作者や編集者のフォローかも知れないが通訳介してでもそんなコミュニケーション取れるんだろうか。不思議だね。もともと日本のマンガのファンだった可能性はあるし、「Dr. STONE」以前にも日本の商業誌で連載を持っていたようだけど。

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 今後物語はどうなるのか。いま(14巻)戦っている石化帝国はまだオチではないだろう。彼らは石化装置を「作った」人たちではなくただ持っていただけだろうから。

 宝島=ソユーズは通過点に過ぎない。ソユーズ島編終了後は当初の目的地日本の裏側へ向かうのだろう。大長編になるのならその途中にまだなんかイベントのある島のエピソードいくつか付けるかも。

 いや、石化装置が手に入ったのならコールドスリープさせてる司を復活させにいったん戻ってもいいのではないか。ただ、司がここから仲間に加わるのはちょっとバランスわるくなるかも。(船にいっしょに乗せた氷月はなんかの伏線なんだろうか)

 それにやはりこの段階で千空たちが石化装置を手に入れてしまうのも展開上まずい気がする。手に入れようとしたが壊れてしまうみたいなことが起こるのではないか(連載ではもうそのへん片が付いてるのかな?)

 ジャンプマンガのお約束である「覚醒」なんかも誰かするんだろうか。最初に主人公と勘違いした大樹あたりがなる? ただその場合主人公を引き継ぐということで千空が死んでくれたりしないと盛り上がらないんだよね。それにこの手は早い段階で一回使っちゃってるからもう一度はないか。

 千空の科学は、最終的には核エネルギーまで行くのではと予想している。服に E=mc2 付けてるんだし(伏線?)。それが核ミサイルなのか原発なのか。核エネルギーに関する見解なんかも提示してくれればまた神展開だが少年誌に重すぎるか。

 果たして石化とは何だったのか? こうした大きな謎で引っ張るマンガは大ヒット作の定番になっている。「ONE PIECE」、「鬼滅の刃」、「ゴールデンカムイ」、「進撃の巨人」(サンプルたった4つかよ) 石化の真相の仮説については千空がすでに3パターンを作中で出している。宇宙人説、軍事兵器説、新種ウイルス説…それ以外ということなんだろう。

 目的はやはり地球浄化なのか?(ナウシカと一緒になっちゃうけど)。実際人類が石化したおかげで地球は野生の王国に戻っている訳だし。だから石化を解いて文明復活しようする千空たちにに対して「WHY?!」。ただ科学文明の否定は既に司との戦いで和解しているので繰り返しになってしまうか。

 クラーク『幼年期の終わり』みたいな結末が予定調和だが、ジャンプだからね。バトル展開は外せない。ということで妄想するのは、あの石化装置が例えば地球外生物の手によるものであれば、その「敵」(?)と宇宙に飛び出して戦う展開も十分あり得る(実際百夜パパは宇宙行ってたし、千空も「今すぐ宇宙に行く!」と宣言していた訳だし)。スター・ウォーズ勃発??!

 ただその場合、今のストーンエイジの設定だとさすがにロケットや宇宙船飛ばすのは無理があるのでタイムマシーンでいったん現代に戻る(いや更に未来か?)とかそんなミラクル展開もあり得るかも。

 「再現性さえありゃ、それは全部科学だ。石化装置はファンタジーじゃない、科学で闘えるんなら負けねえよ!」と千空は喝破したが、どう理屈つけるのかな。十分ファンタジーなんだが…。石化を行った「犯人」が3700年も生きてる(?)ことに関しては、AIなどマシンが忠実に残っていた、もしくはそうした技術を持った未来人が彼らの時代の環境破壊を元に戻そうとまだ修正可能な過去に辿って行ったとかで解決できるか?

 タイムパラドックス、多次元宇宙…いくらでも王道SF展開は可能だ。どこまで攻められるだろうか。そのへんはパラレルワールドとして続編にしたりして。

 むしろ千空たちがドラゴンボールの孫悟空みたいに大人になる展開もあるのかもね。そもそも千空の正体(?)はなんだ?ってのもちょっと気になる。百夜パパと血の繋がりはなく「親友の子」ってつまり?? ジャンプだと主人公が実は王家の血筋とか魔王の子孫とかいう設定は王道だが。あり得るとすれば宇宙人の子?(すでに思考能力のインパクトは宇宙人レベルだがw)


 次巻は4月か。面白い作品が出てくるのは嬉しいが、あまりに長期連載になるともうこちらの寿命が尽きてしまうのではと心配になる…。スパっと終わらせてね!


<おまけ>
 ふと思い出した。似たような設定のマンガでは「サバイバル」とかもあったので探してみたらUnlimitedで読めるんだ。存在は知っていたが実はちゃんと読んだことがないのでこの機会に読み始めた。いろんな意味でおとなむけだな。

 作中に「(食べられるものがあっても)現代人は舌が肥えすぎているのでそれを食べられず餓死することがある」みたいな記述があって、これ「Dr. STONE」でも出てきた。作者は事前に参考マンガとして研究してたんだろうか。

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