クリムト展 ウィーンと日本 1900 プレミアムナイト(東京都美術館)

画像


 ゆったり見れて一部撮影もできるプレミアムナイト。ちょっと割高の特別鑑賞券が必要にもかかわらず開場前、けっこうな人の数だ。限定何名だったかな(訪問日5/18)。
画像



 しばらく待っていよいよ入場。いつものごとく音声ガイドはスルーしかけたがふと予感がして「これもしかして ”込み” ですか?」「そうです!」 おっと危ない。フェルメール展と同じ過ちをするところだった(こんときは入場料に込みだと気付かなかったのよ。石原さとみちゃんのガイドだったのに…ううう)
ということで今回は稲垣吾郎ちゃんと廻ることに相成った。


《葉叢の前の少女》1898年頃
 クリムトははっとするような女性の微細な表情を描くのうまいよね。抱いてきた数々の女性の恍惚とした表情を元にしているのでは。この少女は、館内のキャプションでは「愛人の一人がモデルでは」と書かれていたが図版の解説を読んだら、クリムトの肖像画は必ずしもモデルに忠実でなく、自分の好みの顔にデフォルメすることも多かったそうだ。
 どうでもいいけど「葉叢」って読めなかった…。

《ユディト I》1901年
 顔がヤバイ絵。さっきの「葉叢の前の少女」の表情に通じるものがある。改めてこう見ると背景は子供の絵みたいだな。わざとだろうけど。神話時代のプリミティブさの演出?
朧に透けていくような肉体、シースルードレスに透けるおっぱい。扇みたいな髪型は何なんだろうか。ジャポニズムだからって高島田というわけでもなかろうが。
 クリムトに並び同じような退廃感を醸す画家としてエゴン・シーレがいるが、実際目にすればシーレの画風は生命感に溢れている。対してクリムトは腐臭がする。師弟関係とまではいかないがお互い親密な関係にあったらしく、似たような描き方もしているのにこの違いはなんなのか。
 双眼鏡で女性の顔のあの妖しいお肌をアップで見てみた。ぼやかした青や赤の色の線をたくさん描いてあの不思議な顔色作ってるんだ。これってセガンティーニの技法(*)じゃなかったっけ? アルプスの画家とかいう触れ込みだったが、あの人ウィーン分離派にいたんだっけ? でもあとの作品でクリムトも牛小屋描いてて、やっぱり影響受けていたようだ。


*損保ジャパンでセガンティーニの回顧展があったときの記事より
セガンティーニがその後期(といっても41才で亡くなってしまうのだが)に取った手法にディヴィジョニズム(分割法)というものがある。スーラがやった点描法ならぬ線描法とでも言おうか、基本原色の単線を重ね、離れたところから見ることで視聴覚的に混じり合い、絵の具を混ぜた時に起こる濁りを避け、明るい色調を得ることが出来るという理屈だ。


 そもそも「分離派(Wiener Secession)」ってなんだろな思っていたのだけど、趣旨を聞くとアンデパンダンみたいな意味っぽい。要するにメジャー(旧勢力)に対するインディー? テレビに対するYouTuberみたいなものかw。回る回るよ未来は回る。どの業界もおなじこと繰り返してるんだな。


《ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)》1984年(オリジナルは1901‒02年)
 ここはプレミアムナイト特典で撮影可能エリア。まあすごい勢いでみなさん写真撮ってた。私はたしか十数年前に神戸で見ている。

ちょっと古いクラシックファンにはアバド指揮のベートーベンチクルスでお馴染みと思う。もう廃盤かな。



画像



画像



 なんかポケモンボールみたいのあった。
画像




《鬼火》1903年
 これもオドロオドロしい絵。人魂プラス生首って感じ。特に左下の女性の首が効いてるね。
それに加え、たまたま私の前でこの絵を見ていたえんじ色のワンピース着た女の子がまあ蚊とんぼのようにほっそい子で絵から出てきたのかと思ったよ。3Dで楽しめたありがとう。

《オイゲニア・プリマフェージの肖像》1913-1914年
 この色付けはこないだのエゴン・シーレと同じだ。幅広の刷毛で原色をざっくり塗っていく感じ。


 あまり知られてないと思うがクリムトは意外に風景画も手がけている。望遠鏡からの景色みたいなのも多いらしい。写真からのトレースもしていたと言うし、文明の利器をけっこう活用していたのね。近代芸術家らしいわ。


《亡き息子オットー・ツィンマーマンの肖像》1902年
 生後すぐ亡くなってしまったという息子さんの渾身のデッサン。その顔はなぜか大人びて見える。本来であればともに過ごすことの出来たこの子の将来の姿を思ったのかな。HUNTERXHUNTERのゴンのように一気におとなに成熟させたんだろうか。


 最後のフォトスポット。ほんとに金箔貼ったのかよ!
画像



画像



画像




<プレミアムナイト企画について>

 最初はあんなに混んでたのに閉館時間近くになったら閑散としてた。あっさりしてるね。写真撮って満足しちゃったんだろうか。私はやっぱりゆっくり見れてよかった。いいじゃんプレミアムナイト。チケット代は倍以上するが以下特典がつく。(以下HPより)

プレミアム特典①
夜の美術館で「クリムト展」を特別に鑑賞できます!

プレミアム特典②
公式図録、音声ガイドに加え、オリジナルグッズのお土産(スパークリングワイン「キュベ・クリムト」のミニボトル)もセットになったプレミアムチケット!

プレミアム特典③
《ベートーヴェン・フリーズ》(原寸大複製)を写真撮影することができる時間も設けます。

 撮影権以外はすっかり念頭から消えていて危うく音声ガイドを頼みそこねるところではあったがw。正直、写真が撮れてゆったり見れればいいやという期待から申し込んだだけだ。

 これは収益的にはどうなんだろ。三菱一号館美術館でのサブスクリプションもそうだが、ここにきて美術館業界も収益性改善にあれこれトライアンドエラーしているようだ。デービッド・アトキンソンさんの本を読んで「日本の文化事業団体はあまりに保守的」という愚痴を聞いているのでようやく変わりだしているのかなと推察する。



 アトキンソンさん曰く、段階的に差額のあるチケットを出してそれに見合ったサービスを提供するアイディアはことごとく却下されてきたというが、プレミアムナイトはまさに差別化サービスじゃないか。テーマパークでの「ファストパスとかエクスプレスパス(優先チケット)」みたいなもので浸透してきているのかな。別に古くからある仕組みだけどね。

 プレミアムナイトチケットは、ネットで申し込みができ(それ以外を知らないが)、スマホ画面でのQRコード提示と自宅で紙のプリントアウトする2パターンがある。ところが10月にやはり同じ東京都美術館で行われる「コートールド美術館展プレミアムナイト」では自宅プリントアウトタイプしかない。「入場券」と「特典引換券」の二枚。

 クリムトではチケットのチェックの後、会場で紙の「特典引換券」を配っていた。なにやら不具合があったのかな。もらったもらってないとか二枚もらった人とか…? まあ単純に美術館側で紙を用意するのがめんどいからというだけかも知れないけど。

 しかしこれもスマホ提示じゃダメなのかな。家で印刷出来ない人もけっこういるんじゃないか? コンビニとかで出来るんだろうか。私は会社でやったけどw。即対応できる気もするんだけどなあ。













この記事へのコメント

この記事へのトラックバック