『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

フル書名:『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング)
*長すぎて記事タイトルに入らなかった

 だいぶ話題になっていたし、みなさん激賞だが、主観を交えず客観的な事実のみで判断しろなんて基本中の基本だから今更なあ…と思っていたらこりゃ確かに勉強になる本だった。自分的に上半期一位だ。

 かなり政情が混乱している国でさえ統計を取るとテロによる死傷者よりも交通事故によるもののほうが多いというのは『ファスト&スロー』で読んだ。


 だからといってテロがどうでもいいということにはならないが、それだけ少ない労力で極大のインパクトを与えられるというとてもおトクなアピール方法なのだ。それをまず認識して冷静に対処しようということ。

 日本では最近あまりに悲惨な交通事故の報道が続き、「いったいどうなってんだ?!」と感じている人も多いだろう。だが考えてみればだいぶ減ったとはいえ毎年数千人の人が交通事故の犠牲になっている。全体を見ないと今後の安全対策も定まらない。それに報道が続くのは明らかにマスコミの扇動である。注意喚起の意味はわかるけど。


アジアやアフリカの国々で見かける「男らしさ信仰」は、アジアの価値観でもアフリカの価値観でもない。イスラム教の価値観でもない。東洋の価値観でもない。それは、たった 60 年前のスウェーデンであたりまえだった頑固オヤジの価値観だ。社会と経済が進歩すれば、そんな価値観は消えてなくなる。スウェーデンでもなくなった。変わらない文化など

 未来は変わる。永遠不変と思われる常識もつい最近始まったに過ぎないことも多い。貧困は絶滅できる! アジアの人口爆発と急速な工業化ははそれほど 地球環境に悪影響を及ばさない!

 こうした本書での主張は、ちょっと楽観的に過ぎる印象がなくもないが、前向きな捉え方には勇気を与えられる。とにかく世の中を良くしたい!という覚悟を感じる。同じように数字からの分析のはずの『未来の年表』があまりにディストピアだったのでこれはどうしたことか(これが更に楽観的というかぶっ飛んだ感じになるとミチオ・カクさんの『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』か) 数字で積み上げてもいかようにも解釈は変えられるということなのだ。やはり誰も信用できないな。自分で事実を見つめよう。

 いちばん感動したエピソードが、飛行機事故か近年激減した理由。利害関係にあるライバルに自分たちのすべてをさらけ出すことになりかねない自己処理報告の共有化。

そこで1944年、各国の航空局の責任者たちがシカゴに集まり、シカゴ条約が締結された。条約にはさまざまな付属書が含まれており、特に 13 番目の「航空機事故調査」が重要だった。これにより、事故の報告書の形式が統一された。また、報告書は各国に共有されるようになり、お互いの失敗から教訓を得られるようになった

 まさにウイ・アー・ザ・ワールド! 愛は地球を救う!



 最後まで読んで読者は一つの事実に驚愕することになる。読んでいて数々のエピソードが妙に迫力があるなと思っていたのにはやはり理由があったのだ。墓場まで持っていくレベルの著者の失敗談がわんさか盛り込まれるのも覚悟の上だったのか。


 ところで、事実事実もいいけれど、最近あんまり聞かなくなっちゃった一時流行った「意味のある幸福な出逢い=セレンディピティ、シンクロニシティ=共時性」。この辺も要するに単なる思い込みである。でも意外とブラスの目になる時もあるんだからオカルトと片付けずにもうちょっと向き合ってもいいのかもしれないね。













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