ロンドンオリンピックサッカー総括
終わってみれば銅メダルのカナダ、猛攻凄まじかったブラジル(死ぬかと思った)、隠れ優勝候補だったフランスらをすべて蹴散らして決勝まで進んできたなでしこは実質的に今大会のベストチームだったろう。悔しい。二日前にカナダと120分間死闘をしたばかりで明らかに疲労の色が濃かったあのアメリカならワンチャンスで勝てただろう。終了後に泣き崩れた宮間の涙は「勝てたのに…」だったと思うのだが。
全ては計画通り。当たって砕けろではなく、スタッフは全6試合戦うことを前提で(引き分け狙いも含め)周到にプランを練っていた。オリンピック前、体調不良が報じられていた澤アニキ。復帰してからの親善試合でも完全復活とはいえず、「不要説」も囁かれる中、ピークを本大会にきっちり合わせてきた。始まってみれば変わらず大黒柱の働き。
W杯の時と比べるとやや守備的MFとして攻撃の芽を摘む動きに重点が置かれていた気がする。それでも、ブラジル戦で一瞬の隙を突いたマリーシアな早いリスタートや決勝戦での得点演出など見るにつけ、やはりアニキには攻撃面でももっと参加させるべきだったのかもしれない。
決勝アメリカ戦、2-0から一点返したシーン。ペナルティエリア内、宮間から大野へのパスから折り返されたボールを受けた澤が放ったシュートは一度はキーパーに阻まれる。キャッチはできずディフェンダーがかき出したこぼれ球を(オフサイドの位置にいないと見極めた上で)アニキは一瞬の判断でそのまま撃ち返すのでなく、左前方に張っていた大儀見に正確なラストパスを送る。もらった大儀見も冷静になんなく軽く流し込んでいる。毎度思うがなでしこたちのゴール前でのあの落ち着きは何なんだろうか。
ここに至るまでのブラジルもフランスも強かった。だが勝ちたい気持ちが多い方に勝利の女神は微笑むとよく言われるように、なでしこは両者を上回っていた。しかも決して気負いすぎることなく。ここがすごい。逆に、銀メダル以上確定の段階でメダル取得の目的を達成して気が緩んだのではという気もする。
●○●○●○●○●○
かたやビジネスクラスでロンドンに乗り込んだ男子サッカー代表。結果的に(無得点で帰った程の絶不調だった)スペインと同組で最初に当たったのがラッキーの始まりだった。戦前の期待値から言えば大躍進と言ってあげてもいいだろう。(エコノミークラスで帰ってきたのかな?)
最近サッカーは女子を中心で見ているので、速さ、当たりの強さ、キックの飛距離は女子の五割増しくらいで驚く(いまさらだよ)。というよりもあのゴールデンエイジと言われた中田を中心としたシドニー五輪チームの頃を思い出しても、パワーやスピードはこっちの方があるのではと感じる。特に清武はやっぱうまいなあ。あの柔らかいボールタッチは小野伸二を思わせるが、小野よりも運動量豊富で強さもある。今大会目立った永井や大津はちょっと一発屋のニオイが…w。
最終戦は情けなかったが、まあ負ける時はこんなもんだ。すべてが元に戻っていた。やはり韓国は日本をよく知っている。こういう攻めをすれば日本は怖くないとわかっているのだ。中盤で華麗なパスを回すだけのモラトリアムサッカー。どの世代でもこんな戦い方をするのはもう日本人のDNAにしっかり刻み込まれているのだろうか。
●○●○●○●○●○
実を言うと私はそれほどオリンピックに興味はない。日本人の誰がメダルを取ったとか(個人的にファンで応援している人以外)ほとんど気にならない。いつも事実上、単なるサッカー世界大会のひとつとしてしか見ていないのだ。だが多くの人たちにとってそうではない。オリンピックのメダルには特別な意味があるようだ。その一方で「選手に過剰なプレッシャーを与えないで」や「負けたからって謝らないで」なんて声も聞く。これにはどうにも違和感を覚える。
これはアマチュア時代のオリンピックの考え方なんだなと最近気づいた。つまりオリンピック以外の各種スポーツイベント、例えば野球の日本シリーズで、「選手にプレッシャーを掛けるな」なんて意見が出るだろうか。「絶対勝てよ!」「負けたらファンを辞める!」くらい言われるのが普通だ(で、実際には負けても多くの人はファンを辞めたりしない)。
国内プロリーグと世界大会を一緒にするな? では(サッカーも含めた)各種ワールドカップではどうだろうか? 「リラックスして楽しみたいです~」なんて言ってる選手や関係者がいるだろうか? 「勝て勝て勝て勝て!」しかないと思う。それを目標にやってきているんだから(もっともサッカー以外の単体競技の世界大会はマニアックでその競技が特別好きな人や関係者以外注目されないのだが)。
各競技や個人で温度差はあるにせよ、同様にオリンピックはもう普通のプロの大会なのだ。そこまで特別なスポーツイベントではない(そうあるべき理由があるのか)。「過剰なプレッシャーを与えないで」とオリンピックに限って言うのは、逆にオリンピックをなにか神聖なものと捉えている(捉えたい)証であり、そうした宗教がかった雰囲気が選手を「なんかいつもと違う」と固くさせるのではないか。
世界で一番目立つスポーツイベントであればこそ、国威掲揚や(生涯の年金支給や兵役免除など)生活掛けて参戦してくる海外勢の(他の世界大会とはまったく違う)本気度にそれこそ「参加することに意義がある」気持ちで臨む側は気圧されてしまうのではないか。負けるのは身内のプレッシャーからではないと思う。
そんな中でも、日本人選手はよく結果を残していると思う。そしてなでしこは、女子サッカーは、カネではなく純粋にサッカーを極めようと精進してきた。テレビでタレントまがいのことをしてきたのも計算ずく。注目してもらえなければプレーする場が消えてしまうのだ。その最終兵器がメダルだった。
また四年後か。澤アニキはともかく今のメンバーの大半は残れるだろうか。個人的にはDF熊谷のワイルドな風貌とガタイが実に好みなんだが。北京のなでしこについてのブログ記事で、特にゴールキーパーの不備を嘆いた私だったが、福元は見事に大成長して帰ってきていたのも今大会での驚きのひとつ。努力は実るものなのね。
小動物系・大野ちゃんやおしゃれ番長・川澄ちゃんに比べればやや無愛想に見えるキャプテン宮間は、噂ではずいぶんと世話好きのお姉さんらしい。そうした話を聞くと、宮間の号泣は「もうみんなとここでサッカーするのは終わりなんだ」という涙だったのかと思えてきた。また最強の仲間とともにリオで今度こそ金を取って欲しい。勝て勝て勝て!
全ては計画通り。当たって砕けろではなく、スタッフは全6試合戦うことを前提で(引き分け狙いも含め)周到にプランを練っていた。オリンピック前、体調不良が報じられていた澤アニキ。復帰してからの親善試合でも完全復活とはいえず、「不要説」も囁かれる中、ピークを本大会にきっちり合わせてきた。始まってみれば変わらず大黒柱の働き。
W杯の時と比べるとやや守備的MFとして攻撃の芽を摘む動きに重点が置かれていた気がする。それでも、ブラジル戦で一瞬の隙を突いたマリーシアな早いリスタートや決勝戦での得点演出など見るにつけ、やはりアニキには攻撃面でももっと参加させるべきだったのかもしれない。
決勝アメリカ戦、2-0から一点返したシーン。ペナルティエリア内、宮間から大野へのパスから折り返されたボールを受けた澤が放ったシュートは一度はキーパーに阻まれる。キャッチはできずディフェンダーがかき出したこぼれ球を(オフサイドの位置にいないと見極めた上で)アニキは一瞬の判断でそのまま撃ち返すのでなく、左前方に張っていた大儀見に正確なラストパスを送る。もらった大儀見も冷静になんなく軽く流し込んでいる。毎度思うがなでしこたちのゴール前でのあの落ち着きは何なんだろうか。
ここに至るまでのブラジルもフランスも強かった。だが勝ちたい気持ちが多い方に勝利の女神は微笑むとよく言われるように、なでしこは両者を上回っていた。しかも決して気負いすぎることなく。ここがすごい。逆に、銀メダル以上確定の段階でメダル取得の目的を達成して気が緩んだのではという気もする。
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かたやビジネスクラスでロンドンに乗り込んだ男子サッカー代表。結果的に(無得点で帰った程の絶不調だった)スペインと同組で最初に当たったのがラッキーの始まりだった。戦前の期待値から言えば大躍進と言ってあげてもいいだろう。(エコノミークラスで帰ってきたのかな?)
最近サッカーは女子を中心で見ているので、速さ、当たりの強さ、キックの飛距離は女子の五割増しくらいで驚く(いまさらだよ)。というよりもあのゴールデンエイジと言われた中田を中心としたシドニー五輪チームの頃を思い出しても、パワーやスピードはこっちの方があるのではと感じる。特に清武はやっぱうまいなあ。あの柔らかいボールタッチは小野伸二を思わせるが、小野よりも運動量豊富で強さもある。今大会目立った永井や大津はちょっと一発屋のニオイが…w。
最終戦は情けなかったが、まあ負ける時はこんなもんだ。すべてが元に戻っていた。やはり韓国は日本をよく知っている。こういう攻めをすれば日本は怖くないとわかっているのだ。中盤で華麗なパスを回すだけのモラトリアムサッカー。どの世代でもこんな戦い方をするのはもう日本人のDNAにしっかり刻み込まれているのだろうか。
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実を言うと私はそれほどオリンピックに興味はない。日本人の誰がメダルを取ったとか(個人的にファンで応援している人以外)ほとんど気にならない。いつも事実上、単なるサッカー世界大会のひとつとしてしか見ていないのだ。だが多くの人たちにとってそうではない。オリンピックのメダルには特別な意味があるようだ。その一方で「選手に過剰なプレッシャーを与えないで」や「負けたからって謝らないで」なんて声も聞く。これにはどうにも違和感を覚える。
これはアマチュア時代のオリンピックの考え方なんだなと最近気づいた。つまりオリンピック以外の各種スポーツイベント、例えば野球の日本シリーズで、「選手にプレッシャーを掛けるな」なんて意見が出るだろうか。「絶対勝てよ!」「負けたらファンを辞める!」くらい言われるのが普通だ(で、実際には負けても多くの人はファンを辞めたりしない)。
国内プロリーグと世界大会を一緒にするな? では(サッカーも含めた)各種ワールドカップではどうだろうか? 「リラックスして楽しみたいです~」なんて言ってる選手や関係者がいるだろうか? 「勝て勝て勝て勝て!」しかないと思う。それを目標にやってきているんだから(もっともサッカー以外の単体競技の世界大会はマニアックでその競技が特別好きな人や関係者以外注目されないのだが)。
各競技や個人で温度差はあるにせよ、同様にオリンピックはもう普通のプロの大会なのだ。そこまで特別なスポーツイベントではない(そうあるべき理由があるのか)。「過剰なプレッシャーを与えないで」とオリンピックに限って言うのは、逆にオリンピックをなにか神聖なものと捉えている(捉えたい)証であり、そうした宗教がかった雰囲気が選手を「なんかいつもと違う」と固くさせるのではないか。
世界で一番目立つスポーツイベントであればこそ、国威掲揚や(生涯の年金支給や兵役免除など)生活掛けて参戦してくる海外勢の(他の世界大会とはまったく違う)本気度にそれこそ「参加することに意義がある」気持ちで臨む側は気圧されてしまうのではないか。負けるのは身内のプレッシャーからではないと思う。
そんな中でも、日本人選手はよく結果を残していると思う。そしてなでしこは、女子サッカーは、カネではなく純粋にサッカーを極めようと精進してきた。テレビでタレントまがいのことをしてきたのも計算ずく。注目してもらえなければプレーする場が消えてしまうのだ。その最終兵器がメダルだった。
また四年後か。澤アニキはともかく今のメンバーの大半は残れるだろうか。個人的にはDF熊谷のワイルドな風貌とガタイが実に好みなんだが。北京のなでしこについてのブログ記事で、特にゴールキーパーの不備を嘆いた私だったが、福元は見事に大成長して帰ってきていたのも今大会での驚きのひとつ。努力は実るものなのね。
小動物系・大野ちゃんやおしゃれ番長・川澄ちゃんに比べればやや無愛想に見えるキャプテン宮間は、噂ではずいぶんと世話好きのお姉さんらしい。そうした話を聞くと、宮間の号泣は「もうみんなとここでサッカーするのは終わりなんだ」という涙だったのかと思えてきた。また最強の仲間とともにリオで今度こそ金を取って欲しい。勝て勝て勝て!

![サッカーマガジン増刊 なでしこJAPAN (ジャパン) ロンドン五輪展望号 2012年 7/30号 [雑誌] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル サッカーマガジン増刊 なでしこJAPAN (ジャパン) ロンドン五輪展望号 2012年 7/30号 [雑誌] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル](https://webryblog.biglobe.ne.jp/affiliate/park/images/affiliate_portal.gif)
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