『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』(スティーグ・ラーソン)

 今の若い方々はご存じないかもしれないが、一昔前、おじさんたちの時代は北欧といえば北欧直輸入ポ○ノ(?)。最近は日本も十分刺激的なネタが増えてきたから今更海外にそういったのを求める需要もなくなってしまったって何の話だよ。

 言わずと知れた映画化(リメイクだったのか)もされたスウェーデン発のベストセラー(2005年刊)。何がすごいってもう読み応え満点の上下巻合わせて800ページを超える大作で巨匠ペース。物語が離陸するまでが長いこと長いこと。登場人物大杉。そしてメインの事件が解決してからの着陸もまた後日談が延々と続く。長い冬に耐える国民性からこうしたスタイルはスエーデンではデフォルトなのか?

 探偵役のジャーナリスト、ミカエル・ブルムクヴィストと天才ハッカーでフォトリーディング能力を持ち、まるで女版レクター博士(人は食わないが)のようにほとんど人の心を持たないリスベット・サランデルがエラリー・クイーンの小説に出てくるような呪われた一族のほぼ半世紀越しの謎に挑む。

 最初この男主人公と女主人公が出会うことなくバラバラに片方がもう片方を思うような展開は『1Q84』みたいだなと思ったり。しかしあの友情セックス観はスエーデンでは普通なのか? さすがフリーセックスの国?(そこに戻るか) あと、猫の一件もちょっとなあ。共感できない価値観も多かった。


 『ミレニアム』シリーズは三部作となっており、以降の構想もあったようなのだが、残念なことに作者はもう亡くなられているらしい。日本の Wikipedia では原作者の情報が少なかったので、英語版の方をつらつら見ていたら「リスベットのキャラはキャロル・オコンネルマロリーに影響を受けている」とのインタビュー記事がある(?)ことを発見。ああ、なるほど! しかしマロリーの方が危ないな(笑)。そして彼女の方がリスベットより周りから愛されているかも。


 残念ながら翻訳は△。丁寧だが小説としたらちょっと文章に色気がないかな。80過ぎた爺さんがあんなしゃべりかたするだろうか。だからといって、「わしは…じゃ!」みたいなのも困るけど。不思議なのは訳書は『ミレニアム』フランス語版をベースにスウェーデン原著と照らし合わせ制作したと「訳者あとがき」に出ていた。なんでそんなややこしい手順を踏んだのか? スウェーデン語には堪能でも翻訳経験があまりないから、共同作業をしたという意味かもしれないけど、それにしてもなぜスタートがフランス語??

 ちなみに今回は電子書籍で読んだ。実用書中心でスマホで小説(しかもこんな大長編)を読むのは初めてかも。気分が出ないかなと思ったけれど意外にいけるものだ。あと、あのめったやたらにいて、しかも北欧らしく長ったらしい登場人物たちの名前はとても覚えきれるものでなく、「こいつ誰だったかな?」と思うたびに、電書の検索機能でその名前が登場した時の場面が拾えるのはかなり助かった。




 DVDで映画も観てみた。あのなが~~い物語を手堅くまとめていたのではないか。あの後日談も意外に丁寧に描いていた。しかしやはり注目はリスベット役のルーニー・マーラだろうな。画像検索で見るとオードリー・ヘプバーンみたいなお嬢さん顔なのにあのメイクで超危ないおねえさんになるのか。いやオンナは怖い…。

 あ、監督のデヴィッド・フィンチャーって誰だったかなと思ったら「ソーシャル・ネットワーク」撮った人だったか。









ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
スティーグ・ラーソン


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