『ドイツ病に学べ』 (熊谷 徹)

 白状すると私はドイツマニアだ。大学の第二外国語ではドイツ語を学んでいた。Ich liebe dich! 好きな音楽家は3B、いわゆるバッハ、ベートーベン、ブラームス。好きな作家はトーマス・マン、好きな科学者はアインシュタイン、嫌いな軍人はヒットラー、そしてクルマはベンツにしか乗らない(これはウソ)。ワールドカップでも日本の次に応援していた。でも行ったことはないんだよね。

 日本と共に第二次世界大戦の敗戦から奇蹟の経済復興を遂げた優秀な国家。東ドイツとの統合後実現した大ドイツが今や病膏肓に入るという。どうしたことか。少子高齢化、学力・労働力低下、年金崩壊、貧富格差、労働コストの上昇の反面で生産性の低さ、国の手厚い保護政策に甘えた業界・国民…ドイツの患う「先進国病」は日本も他人事ではないと著者は指摘する。

 ドイツと日本はその勤勉さで似ているとよく言われるが、実は細かいところで結構違っている。徹底した個人主義からドイツで滅私奉公はあり得ないらしい。どんなに忙しくても有給休暇はきっちり消化するし、失業しても自分が悪いとは思わず、無職であることを恥じたりもしない。敢えて世間体から気に入らない仕事に就くことも絶対にしないそうだ。その頑固さが"病状"を悪化させている。

 著者はドイツの苦戦をグローバリズム経済に巻き込まれて負けた結果としている。事実上グローバリズム≒アメリカンウェイであり、デファクトスタンダードであるのと同時に批判されてるものでもある(私、わかって書いてる訳じゃありません)。つまり世界中がアメリカ式の世の中になるのが果たして良いことなのか、実情はどうあれ、腹の中ではそうじゃないと思っている人の方が多いだろう。

 働かざる者食うべからず、弱肉強食社会自体は仕方がない。しかし世界では貧困に喘いでる人々が億単位でいるのに、たかが(といったら悪いけど)野球選手の移籍に百億円単位の金が動く、これが正常な世の中だろうか? 著者が問題としているドイツ気質は、ドイツびいきの私からしたらむしろ清々しく映るのだが(笑)どうなんだろ? なんとかドイツウェイで立ち直ってもらいたいものだ(ジャパニーズウェイもね)。








ドイツ病に学べ

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