少佐の記憶-Memoirs of a major-

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zoom RSS ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌(ポーラ美術館)

<<   作成日時 : 2017/05/18 22:55   >>

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 ピカソとモディリアーニピカソとクレーピカソとマチス、ピカソとヒソカ(これはないか)…ピカソと同時代の画家でタッグを組む企画展はぼちぼちあるが、ピカソとシャガールは世界初(HPより)らしい。でもいつでもピカソの名前の方が先にくる力関係はなんなんだ。





 と言いつつ、私にしてもこの企画展を見る前も見た後も、結局ピカソの印象しかない。シャガールも好きだったんだけどな。だんだん存在が薄くなっていく…。

パブロ・ピカソ
《海辺の母子像》1902年
 企画展は階ごとに二会場。まずは地下1階。毎回お馴染みポーラ美術館所蔵ピカソ青の時代の名作に目が行く。小舟のシンメトリーを背景に母とさざ波の動きが垂直に交わる。青の時代の特徴は、静けさ、祈り、ストップモーションの永遠…、そのあたりが顕著に出ている。海辺だから波音はしているはずなんだけどね。それでも無音に見えてしまう。岩にしみ入る蝉の声かな?

 青のモノトーンの絵の中に母が手に持つ赤い花のワンポイントがとても効いている。貧困の中にも見いだせる命、希望、エネルギー、温かみ?

 青の時代はピカソが貧乏な頃、たまたま青色絵の具が一番安かったから青ばっかで描いたんだなんて説も聞く。(そういうこともあったかも知れないが)でも後年有名かつお金持ちになってからも敢えてモノトーンで描いてる名作もあるから(ゲルニカなんかね)意図的にやっているのは間違いない。彼なりの理論と自負があったのだろう。

《ゲルニカ(タピスリ)》 1983年
 (タペストリー制作:ジャクリーヌ・ド・ラ・ボーム=デュルバック)
 地下2階展示部屋に入り巨大迷路のようなクランクを曲がるといきなりゲルニカが迎えてくれた粋なはからい。今日はこれを見に来たのだ。展示は本日(5/11)まで。群馬県立美術館所蔵らしいのだが、常設してる訳ではなく、たまにしか見せないらしい。私の家からだと箱根の方が近いということもあり会社サボってやってきた次第。

 ただ、タペストリーって要するに劇場の緞帳みたいなもんだからねえ。青森でみたシャガールも正直ちょっと大味かなと思ったし。「あのゲルニカのタペストリーが展示されるってよ」と聞いてもどうなんだろうと最初は思った。

 しかし実際見てみたらこれが素晴らしい。ゲルニカがほぼ単色で描かれた作品だからタペストリーでも映えるのかと思ったけど、隣のシャガールのゴテゴテした色のタペストリー作品もちゃんと十分なハイクオリティ解像度だった。ピカソやシャガールが積極的に自作のタペストリー化に協力したわけだ。

 ゲルニカは大塚国際美術館で原寸?レプリカを穴の開くほど眺めて、写真にも撮ってきたのにだいぶ新たな発見があった(いかにいい加減に見ていることか)。また大塚で見てたのよりどうもやや大きい気がして、係員さんに聞いてみるとこれでもスペインの本物より一回り小さいとのこと。大塚のは原寸が売り物のはずだからこれも記憶の改変かな。

 係員さんのお話(+キャプション)によると、タペストリー版のゲルニカは三枚制作されており、これは最後の一枚。ピカソ自身が材質や色合いや新たな枠の設定等細かく指定して完成されたという。そしてピカソは中央下の花に色を付けるか最後まで迷っていたとか。そこまで手を加えようとしていたとは意外だった。


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ここね

 昔の白黒映画のリプリント版で、ちょこっと色を付けるようなものだろうか。でも映画の場合最初は技術的な問題で白黒以外の選択肢がなかったから、当時諦めた着色を今ならしてみたくなった監督の欲求はわかる。


 白黒映画の中のワンポイントカラーというとこれを思い出すんだけど、よくよく調べたら後年の編集でなく最初から黒澤明監督がこだわって無理やり色付けてたのね。


 でも絵画の場合そうではない。他の選択肢がある中でモノトーンを敢えて選んでいるのだ。線の画家であるピカソは、単色作品も多く残していることから色よりも配置や方向線への意識が先に行くのかと思ったけど、色へのこだわりもかなりあったようだ。当たり前か。

 あ…でも花のワンポイントってことはつまりさっきの「海辺の母子」と同じ事したかったのか! 青の時代なんてかなり若い頃の話なのに老境になってもまた同じことを思いつくものなんだな。

 タペストリー画、思ったよりずっと良かった。「アヴィニョンの娘たち」なんかもあるらしい。見てみたいものだ。どこにあるんだろう?

 ちなみにゲルニカが群馬に帰った後は《ミノタウロマキア》というやはりピカソのタペストリー作品が続いて会期終了まで展示されるようだ。これもすごそうだ。で、これ上野の森美術館所蔵なんだな。なんでこんな日本にばっかタペストリーあるんだ?



 展示の終盤は晩年の作が中心。タナトスがキーワードとしてあげられる。この時代のピカソ作品の凄まじさは前にも書いた。もはやこの辺は絵ではない…。痴人の愛だ。

《帽子の女》 1962年
 黄色い麦わら帽子(?)を被って椅子に座る半分は女性だが半分は老人の奇怪な女の子。なんとモデルのジャクリーンと画家のピカソ翁が「合体」したものらしい。キモっ! ジャクリーンさんかなり迷惑な顔してるよ。


 おっと、シャガールについてもちょっと触れておくかついでかよ。

マルク・シャガール
《私と村》 1923-1924年頃
 故郷を思う心象風景か。画面を分かつ青赤緑のトリコロールに幾何学模様が隠れている。NYにあるやつとは別物で、こっちの方が後から制作されたものという。見比べてみると細かい所がだいぶ違う。先に描かれた方がマジメに丁寧に描かれてる気がするな。

 空間構築に命を懸けたピカソに比べ、シャガールはそんなことほとんど気にしている風がない。重力からも時間からも理屈からもまったく自由だ。民話、童話、メルヒェン、怪談の類の世界に近いのかな。





↑この本ちゃんと読まないと。




 さて、ポーラはいつぶりだ? スタンプカードの紙が変わっていた。箱根はちょくちょく来ているが岡田美術館や天山ばかり行ってたかも?「セザンヌー近代絵画の父になるまで」から二年ぶりだったか? (あの時もらった招待券使ったっけ?)



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 時間もないのでランチもここで済ませた。魚のコースにしたが、以前同じコースを食べた時の記事をみたら当時は魚のソテーが二枚だったぞ…。今日のはキャベツのほうが存在感あるじゃないか。さりげなく値上げしてやがる!










ほ、欲しいかも…



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