少佐の記憶-Memoirs of a major-

アクセスカウンタ

zoom RSS オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき(三菱一号館美術館)

<<   作成日時 : 2017/02/26 14:34   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

画像


 ナビ派。ゴーガンを始祖とした平面的な装飾的画法を標榜するモダンな絵画主義集団として、どこまで理解しているかはさておき私としてはそれなりに馴染みのある流派であったが、どうも西洋ではだいぶマイナーでそれほど知名度はないらしい。

 ただ私のそのナビ派に対する認識も要するに以前「モーリス・ドニ展」を見に行ったからに過ぎない。そのドニがナビ派に関して、こんな言葉を残しているらしい:「絵画とは軍馬や裸婦、或いは何かの逸話である以前に、本質的には一定の秩序の上に集められた色彩で覆われる平面であることをまずは認識すべきである」

 なんともクールな卓見である。ただそんなことをいったら文芸=本だって、紙についたインクの染みに過ぎないのだが。更に今じゃテキストは電気スクリーンの明滅になり、物質でさえなくなっているw。すべては人の想像力によるものなのだ。

 「近代」が始まり、それまで魔術や言霊の様に扱われてきた芸術も科学の洗礼を受けその神聖の呪縛を解かれ、無機質な物質へとその身を変えていく。神話の土台に負った古典絵画の頃から神は死に、その精神性は人間の手に戻された。


ポール・ゴーガン
《黄色いキリストのある自画像》 1890-91年
 これ前に見たことがあるな。キャプションでは「ゴーガンのマニフェスト的作品」と紹介される(決意表明的な意味かな?)。普段着の自分を中心に、背景では不遜にも磔の黄色いキリストになぞらえ、はたまた壷に模した自分、と三種の顔が描かれる。私は「人面疽かよ(あの壷)」と思ったが。


モーリス・ドニ
《磔刑像への奉納》1890年
 ナビ派の典型的な画風。妙な色の取り合わせ。奥行きもない。雲形定規みたいなもやもやさせた背景はなんだろか。全体に暖かいトーン。マチスやピカソみたいな補色関係の科学的な計算は(あるのかもしれないが)あまり感じられない。

《ミューズたち》1893 年
 これはブリヂストン美術館で見たんだった。改めて見ると、一番手前で椅子に座りこちらに背を向けている女性が背もたれにたれかけさせているショールのしわがちょうと腰のあたりにあってお尻の割れ目に見えるな(それが新たに気づいたことかい…)

画像



《鳩のいる屏風》1896年頃
 ドニ師匠、こんなことしてたんだ! なんと日本の屏風絵なんかにまで手を広げてたのか。生涯手元のみにおいて門外不出だったらしい。屏風の折れ曲がりを利用した柵の立体性とか、琳派カキツバタのマネか? だが正直本家の屏風絵からしたらちょっと拙いし、かなり実験的な試行錯誤の匂いもするし(あのおっぱい星人ポール・デルヴォー的な感じもする)。要するにこれを人様の前に公開するのはこっ恥ずかしかったんじゃないかな。


アリスティード・マイヨール
《女性の横顔》1896年頃
 艶めかしい女体ブロンズ像で知られるマイヨール。絵も描いてたのかよって人も多いだろうが、そもそも目を悪くして(エロ)彫刻に転向したんだよね。これは空間を大胆に使ったいかにも印象派っぽい画風。


フェリックス・ヴァロットン
《室内、戸棚を探る青い服の女性》1903年
 冷たい炎の画家ヴァロットンもナビ派だったか。戸棚でなにかを探している青い服の女性の後ろ姿。いちま〜い、にま〜い…(?) 前にここでやったヴァロットン展で見たな。夜中に会いたくない怖さだとか書かなかったかな。


ピエール・ボナール
《ベッドでまどろむ女(ものうげな女)》1899年
 情事の済んだ(?)ベッドから、身を隠そうともせず「ん、なに? いま起きるから…ふわぁぁ〜」みたいな一糸まとわぬおねえさん。足の間にもやもやっと漂う白い煙みたいなのはなんだろうか。残り香かな…。エロい…。
 ボナール、今回たくさん展示されてるけどつまんない絵ばっか描く画家だなとここまで思ってきていたが、なんだ面白い絵も描くんだ…、と思ったらどうもベルナールと混同していたようだww。つまんないのはベルナールだった!(ベルナールファンの方申し訳ありません) 薬みたいな名前が悪いのだそれはカコナール。




《格子柄のブラウス》1892年
 この企画展のポスターでも使われた作品。縦長の構図にお皿をフォークで突く女性がひとり。周りからは浮世絵かぶれ?とからかわれたそうだが、これはよい。シャツのチェックの柄が女性の容貌より目立っているところや、さりげなく女性がしなを作っているようにも見えるのも粋だ。

《ブルジョワ家庭の午後》1900年
 更に傑作! 傑作ぅ! そして大作! いつの時代のどこの国のブルジョワなんだかもよくわからないが、異空間に誘われる。スーラ的要素も入ってるし、いやはや芸風豊かだな。ナビ派といえばドニが一番だと思ってたけど、ボナールなにげに巨匠であった。


 期待以上に楽しめた。だが会期初めということもあるのだろうが、19時半を過ぎたらほとんどお客さんがいなくなった。もっとお客さん来て欲しいな。
画像


 ところで、アニメの「JOJO」第四部はナビ派を意識してないかな。ピンクの空にモスグリーンの道路とか色使いがちょっと独特なのがひと目見て感じられる。

こんなの



 実際数年前に荒木飛呂彦御大が日曜美術館のドニの回に出て、ピンクとモスグリーンの使い方とか「普通ではあり得ない配色!(そこに痺れる憧れるぅ!)」なんて話をしてたんだよね。











かわいいナビ派
東京美術
高橋 明也


Amazonアソシエイト by かわいいナビ派 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ここしばらく 見かけないので 
どうしちゃったのか 少し 心配していました
元気そうで 良かったです・・・
いつもの ペースが戻ってきたようですね・・
また愉快な 解説 楽しみにしています
winter
2017/02/26 15:13
winterさん
ご心配ありがとうございます。でも特段何か起きてたわけでもないので…w。美術ネタは行かないと書けませんからね。注目企画がまた目白押しみたいですから、またボチボチと上げていきます。
少佐
2017/02/26 21:34

コメントする help

ニックネーム
本 文
オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき(三菱一号館美術館) 少佐の記憶-Memoirs of a major-/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる