少佐の記憶-Memoirs of a major-

アクセスカウンタ

zoom RSS 『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』(森岡 毅)

<<   作成日時 : 2017/02/11 22:06   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

画像


 外資のサービス業がガラパゴスな日本で成功するには、@日本でもウケる強力なブランドがあること(ディズニーとか)、あるいはA徹底的なローカライズ(セブンイレブンとか)を持っているかが成否を分ける。

私は、マーケティングは実戦でのみ鍛えられる実践学だと考えています。本からの理論だけが先行するマーケターは、差別化という美しい戦術に憧れて溺れることがあります。差別化すること自体にこだわってしまい、本来の目的を見失ってしまうのです。

 私もマーケティングは「科学」だと思っている。すなわち現実に起きている事象を見てそこから理論を導き出す。その事象が意図的に再現できるまで理論構築(仮説)と実験(実マーケットでの検証)を繰り返す。求める結果(マネタイズ)が出来なければどれだけ美しく描いた理論も無価値である。

 逆に理論付け出来なくとも、結果が出れば無問題。統計データから導き出される指針は(Amazonなどのレコメンデーション機能が好例)「なぜこうなるのか?」の理屈付けはまったく無用。

 (ネットなどに溢れる)ほとんどの御意見は、USJの不調の原因は「映画のテーマパークからブレてしまったこと」だというものでした。

 世の中にマーケティング理論に詳しい「自称大御所」は多いのだが、理論ばかり振りかざして現実離れした結論を自己満足で導き出しているに過ぎない事に気付いていない向きも多い(私だ…)。

 私も、不調の原因はともかく(不調だった頃はUSJの事がそもそも意識に上ることはなかったよ)、「最近のUSJって、もう映画関係ないじゃん!いいのかよ?」と思ってたことは事実だ。

 苦戦していたUSJがV字回復を遂げたのは、なんでもありのテーマパークにしたことによるものだ。著者によれば「映画と関係ないじゃん!」という誹りはいうまでもなく相当(内部からも)受けたらしい。だが勝てば官軍。元々日本人はシンプルさよりもてんこ盛りのチャンプル文化がお好みなのだ。(ハウステンボスも同じような戦略で復活している)

 だがやっぱり本来のレゾンデートル「映画のテーマパーク」も忘れてはいなかった。それが米USの「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」をUSJに持ってくる野望である。題名に使われた「後ろ向きジェットコースター」他のテコ入れはハリポタまでのツナギであった。そこからすれば題名はハリー・ポッターを全面に打ち出すべきではなかったか。

 (ハリポタの名前を冠することに大人の事情とかあったのかな。そもそも逆走するジェットコースターって別にUSJが初じゃないと思うんだけどな。調べたらやっぱりよみうりランドのバンデットというやつが過去にやっている。今はもうやっていないらしい)

 結果的に冒頭に上げた成功条件の「@強力なブランド」と「A徹底的なローカライズ」をUSJは共に得たのだ。

 昨年私がUSJを訪れた目的も「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」だ。確かにどんな遠方(TDRの地元千葉からでさえ)からでも人を引きつけるだけの魅力があった超強力ブランドである。

 ホグワーツ城やホグズミード村の出来には舌を巻いた。最近改めてハリポタ映画をDVDでちょっと見返してみたら「あ、ここ行ったことある!」のレベルであったw。あれ制作費400億円以上だったんだ。カネかけただけのことはある。
画像



 森岡氏が凄いと思ったのは、その実践力だ。マーケティングやロジカルシンキングで最初に教わる「MECE」を実務でこなしてる人を初めて見た気がする。更には数字の裏付けもキッチリされている(エンターテイメントみたいな水物商売にも関わらず)

 MECE(漏れなくダブりなく)とは「すべてを足して100%になる項目(仮説)を立てて検証する思考法」。だからどうしたで終わってしまう人が多い。だがその極意は「やらなくていいこと、考えなくていいことを次々と切り落としていくことで正解に早く正確に辿り着くことが出来る」ところだ。普通の人はただ分類するだけそこから先に進まない。

 そしてイノベーションとは「まったく新しい価値を魔法のようにひねり出す」のではなく、「すでに世の中にある見えてる価値(点)を独自の視点で結びつける(線)ことで新たな価値を生み出す」こと。つまりパクリ上等!コネクティング・ザ・ドッツ!

外からアイデアを盗んでくることで、圧倒的なスピードと、どこかで実際に消費者に試されていることによる成功確率向上の2つのメリットを、同時に得ることができます。繰り返しになりますが、日本人もこれをうまくできるようになる必要があると私は痛感しています。

 これには私も強く賛同する。ニポンジンには変な美学があるのかなあ? 複眼的なチャンプル文化の価値観の弊害として、余計な事(変な気遣い)をし過ぎるきらいもある気がする。

あれをゼロから思考して創出した、ユニバーサル・クリエイティブの鬼才たちと、意思決定した米国ユニバーサル社のマネジメント陣に最大の敬意を表します。

 パクり上等、とはいえ悔しいね。楽して成功もよいけれどやっぱりハリポタみたいなオリジナルを最初に生み出す方にも日本はもっと回りたいのだ。

中小企業や業界で2位以下のような会社は、生き残るためには攻め続けて勝ち続けるしかない

 で、去年ニンテンドーランドの目処が付いた時点で森岡さん辞めちゃったんだ。自分の引き際について、「守りに入った段階で自分はUSJを去る」、みたいなこと書いていたので、その時が来たのだろうか? どっかに引き抜かれたか?

 USJとしては痛手かもしれない。だが森岡氏は置き土産として(?)もう一つUSJネタのものと、本格的なマーケティング理論の本も残していってくれた。それらで勉強させて頂きつつ、次のチャレンジに注目すべきおひとである。













USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店
2016-04-23
森岡 毅


Amazonアソシエイト by USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』(森岡 毅) 少佐の記憶-Memoirs of a major-/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる