少佐の記憶-Memoirs of a major-

アクセスカウンタ

zoom RSS 新印象派展 光と色のドラマ(東京都美術館)

<<   作成日時 : 2015/02/01 22:14   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

画像


 新印象派。あまり耳慣れない用語だろう。後期印象派とかポスト印象派の方がまだ聞いたことがある。ジョルジュ・スーラという男が生み出し、完成させるや否やセンセーションを巻き起こし、だが当の本人は急にこの世から永遠に去ってしまった。そんなことから一時的な亜流派だったのかもしれない。半年ほど前あべのハルカス美術館で開催されていることを知り、興味惹かれたが東京に回ってくるのを待っていた。


クロード・モネ
《税関吏の小屋・荒れた海》 1882年
 最初に飾られる作品。雲海のような、雪山の連峰のような、さざなみの立つ海のような、草原のような…光に着目したモネにとってはどう取られてもよさげな絵の具のひろがりに建つお菓子の家のような掘っ立て小屋。実験作なんだろうけど、私にはあまりおもしろくない。スケール感もないんだよな。日本テレビ放送網株式会社所蔵となっている。おおかたモネのネームバリューだけで買い付けたんじゃなかろうか。酷評しすぎ?w

《アヴァルの門》1886年
 これもやはり波の打ち付ける切り立った崖を描いた割には小さな岩にしか見えん! 色が粒だってきれいではあるのだけど。


ジョルジュ・スーラ
《石割り》 1882年
 石繋がりという訳でもなかろうが、石割る人を描いた初期スーラの貴重な作品。個人蔵らしい。後の点描技法はまだ取られていない。なんかもやっとしてる。草地で棒を持ったおじさんが前かがみになっている。最初ゴルフかゲートボールかと思ったよ。ミレーとの関連を指摘する声もあるようだが…どうだろね。

《セーヌ川、クールブヴォワにて》 1885年
 今回の白眉はこの作品だと思った。スーラの代名詞となっている点描技法。川の水面の反射で向かいの家を浮かびだす。彼の縦構図は珍しいという。右から左、川の流れに身を任せるヨットと左から右に歩を進める横向きの貴婦人、上に伸びる樹木、それぞれの交差が動きと時間の流れを呼ぶ。これも個人蔵。こんなの持ってるなんて羨ましいね。

《〈グランド・ジャット島の日曜日の午後〉の習作》 1884-86年
 言わずと知れたスーラ畢生の大作〈グランド・ジャット島の日曜日の午後〉に向けた習作の一部。「グランド・ジャット島〜」は1884-86の間に制作された。今回展示されたその習作は数枚あり、製作年はどれもほぼ重なっている。部分的に習作を重ねながら少しずつ完成させていったようだ。ピカソのゲルニカなんかもパーツの習作がたくさん残っていることで有名だが、同じような過程を踏んでいたのだろうか。

 で、その《グランド・ジャット島の日曜日の午後》は無論今回来日していない(シカゴ美術館にあるそうだがこれまで来日したことはないんだろうな。国外に出たこともあるのかな?)。小さなパネルで参考展示されていたのみ。それでも今回飾られているどの作品よりも存在感が際立っていた。スーラは点描を突き詰めて、絵の中に登場する人物もいわば点にしてボーリングのピンのような、人間味をあまり感じられないように描いている。

 とは言え、鑑賞者すべてにノスタルジックな印象を与えるのは、当時の最新色彩理論を駆使して試行された点描が、実は古くからあるモザイク画を想起させるところがあるからではなかろうか。一部でもよい、画像にモザイクを掛けわざとぼやかせることで、それがかえって見る人の想像力をより刺激する効果のあることは一部の人にはお馴染みであろう。グランド・ジャット島に行ったことのある人もない人も自分の記憶にある思い思いの平和な午後を、絵の具の点の集合体にすぎない平面に映し出された人霊に浮かび上がらせる。

 まったく話は違うが、ドットで世界を分解して絵画に落とし込んだスーラのことを考えていたら、今話題の3Dプリンターでたとえば世界の名画も複製出来ないだろうか、なんてことを思いついた。写真に写すと絵の具の凹凸もキャンバスの生地目も出ない。3Dスキャンすればなんでもなぞれるのではなかろうか。更には時間の経過で退色してしまった絵の具も昨日塗ったように甦らせられないか? もうとっくにトライされてるのかな? そんなの冒涜?(オークションの値段が下がる??)

 ちなみにグランド・ジャット島はフランスのセーヌ川の中にある(んじゃ、島っつーか中洲だよね?)。で、便利な世の中なもんで現在の様子はすぐググることが出来る。



 見る限り住宅と舗装道路が張り巡らされた普通の街並みで、スーラが描いたようなのんびりとした雰囲気はもうあまりないのだが。


ポール・シニャック
《髪を結う女、作品227》 1892年
 ポスターに使われたこれも佳作。うちわや陶器の水差しとかはオリエンタリズムかな。

 途中、面白かったのがスーラとシニャックのパレットが展示されていた。絵の具も乗ってる! こんなの初めて見たかも。シニャックのは小さくて鍵盤みたい。二段構えで暖色から寒色に順に並べられている。スーラのは大きくてシニャックに比べればカオス。二人の性格の違いが出ていたのかもしれないし、たまたまかも知れないしw


アンリ=エドモン・クロス
《地中海のほとり》 1895年
 展示の終盤はスーラ後の新印象派の展開。毎度思うがこりゃもうHDR処理である。


 会場を見ていて思い出したことに、点描画やスーラに影響を受けたベルギーの画家、はたまたスーラが31才で亡くなったとか、点描技法はモンドリアンに行ったとかいやフォービズムか?とかについては、過去に

印象派を超えて―点描の画家たち(国立新美術館)
フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて(Bunkamura ザ・ミュージアム)


 で見たことがあったんだよね(すっかり忘れていたけど)。マクシミリアン・リュスあたりは Bunkamura に来ていたような気もするのだが、当時のブログを見ても触れていないな。あまりお気に召さなかったのであろうかw。











スーラの絵本―もっと近づいて (小学館あーとぶっく)
小学館
結城 昌子


Amazonアソシエイト by スーラの絵本―もっと近づいて (小学館あーとぶっく) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
新印象派展 光と色のドラマ(東京都美術館) 少佐の記憶-Memoirs of a major-/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる