少佐の記憶-Memoirs of a major-

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zoom RSS 江戸絵画の真髄(東京富士美術館)

<<   作成日時 : 2014/05/05 13:40   >>

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 八王子市という比較的近いロケーションにあるのに、そうかそうか初めて来たのだね。その理由はただひとつ、鈴木其一の風神雷神図を見るためだ。

 風神雷神図は先日宗達の本家本元を見てきた。まあ正直いってあんまりピンとは来なかった。それはそうとして、ただいま関東地区で俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、そして鈴木其一、4種類の風神雷神図が見られる珍しい事態になっているらしい。他の人は申し訳ないがどうでもいい、わたしゃ其一さんが好きなのよ。


 京王八王子駅からバスに乗り十数分、うちからだとそんなに不便でもなく到着。逸る心を抑えてまずは常設展から。これが思いの外豪華絢爛であった。


《煙草を吸う男》 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 1646年
 いきなりラ・トゥールである。世界でもそんなに数ないはずだけどな。よくこんなのあるわ。
 煙草というかキセルだね。最初手に持ったぶっとい丸太炭を吸うのかと思った。ありゃ火口だな。その火口を中心に光を集めるラ・トゥールらしい作品。


《農民の結婚式》 ブリューゲル(子) 1630年
 ブリューゲルさん好きなのよね(父と子と正直よく区別つかないけど)。この絵もヘタウマっぽいんだけど、実に入念な工夫が入れられている。まずこの時代の絵にしてはひとりひとり顔の区別がちゃんとつく。こんな大勢いるのに。みんなちっちゃくしか描かれてないのに。登場人物の服で、画面の中で赤を散らすし、緑との補色関係も計算している。なが〜いテーブル席の来賓とか、給仕のおじさん二人をおっきくして対比させる遠近法。
 みんなヘルメットみたいな帽子被ってるな。ブリューゲルは美術としても中世の時代考証としても貴重な資料になる。ほんとに当時の忠実な描写かどうかはわからないけど。でも細かく見ていくととにかく楽しい。
 おじさんが抱えたタンクから注いでるのは茶色いからビールかな。ワインかもしれないけどなんかみんなジョッキみたいのでグビグビやってる感じだから。で、誰が新郎新婦なのかがわからん。立派な椅子に座って金の襟してるのは神父さんだと思うのだけど。やはり金の襟をつけた女性がいちばん新婦に見えるが、そしたら新郎はどこよ? この女の人は神父さんの奥さん?(神父さんってケッコンできたっけ?)
 …なんて適当に思っていたら、美術館のHPにていねいな解説が載っていた。それによればこの作品はブリューゲル(父)の模写作品。神父さん新婦さんに見えたのはやはりそのまま神父さん新婦さんみたいで(ややこしい)、新郎がどれかはちょっと議論がわかれるそうだ。
 注いでいるのはやはりビールと考えられ、配られてるのはスープではなく、プディングらしい。そういえば茶色のおじさんがこぼれそうなほど器を傾けてるな。


《ユディト》 カミーユ・コロー 1872-74年頃
 コローはユディトなんか描いてたんだ! クビチョンパした後の賢者タイムだろうか。荒野に出てボーっとしているように見える。浅黒い肌に民族衣装。コロー晩年の作品にみる特徴がよく出ている。スカートとそこに立つ荒れ地の地面がほぼ一体化している。地に消えていこうとしているのか?


《オーヴェールの曲がり道》 ポール・セザンヌ 1873年頃
 セザンヌにしてはカラフルな作品だ(爆)。


《ユスーポフ公爵夫人》 マリア・エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン 1797年
 あ、この人(作者の方ね)、やっぱそうか、雇い主よりも自分の自画像の方をきれいに描いたあの美人さんか。


《ポール・アレクサンドル博士》 アメディオ・モディリアーニ 1909年
 エコール・ド・パリの画家もちゃんと抑えてあるのが感激する。例によって肖像画なんだが、なで肩の正面図でなくかっちょいいポーズを決めているし、顔も瞳はあるし写実的。いつも背景はテケトーなモディリアーニにしてはけっこうちゃんと背景も描かれている。横にカーテン垂らすのも伝統的肖像画の作法に則ってる。似てない肖像画がこの人の信条なのにこれはきっとかなり似てるんだろう。まだまじめに(?)絵を描こうと思っていた初期の作品かな(といってもほぼ十年後に亡くなってしまうのだが)。俺様の姿、ちゃんと描けよ、という依頼主からのリクエストかも。


《花》 モイーズ・キスリング 1929年
 キスリングは原色の色使いが刺々しい。でもこの花瓶の花は、薔薇も描いてるのに刺を描いてない。尖ってるのは色だけで十分だと思ったのか。


《冬の牧場》 グランマ・モーゼス 1945年
 あれ?またこのおばあちゃんに逢えるとは思わなかったよ! 相変わらず手を抜いたブリューゲルみたいな(爆)雪景色。


 そしてお待ちかね

《風神雷神図襖》 鈴木其一 江戸時代後期
 デカっ。ってか風神雷神二人の距離があまりに離れている。先達が二曲一双で描いていたものをおひとりさま四枚、合わせて八枚の襖に描き出している。(誰バージョンか忘れたけど)過去作品では両者の視線を合わせる工夫とかもあったけど、わたし的にはこれくらい離れている方がリアルに空が迫ってきてとても気持ちが良い(もっとも、元は襖四面の裏表に描かれていたらしいので、空の広さを意識したものではないようだけど)。すぐそばに長椅子が置かれていてじっくり対面できる。
 表情も其一版が一番豊かに見える。雲も同様に性格付けが違う。雷神の雲はおどろおどろしくゆっくり広がって、風神は風雲急を告げる勢いを感じる。いや楽しい、ド迫力、見に来てよかった。


《萩月図襖》 鈴木其一 江戸時代後期
 もひとつ其一作品。半月を過ぎふっくらしてきたお月様。クレーターとかは描かれていない。その月光に照らされて生い茂る萩の葉がまばらに乱反射してるように塗り方を変えている。其一さんにしては渋みの強い逸品。


 いやはや予想以上に楽しめた。特によかったのは、Qコード読み取りに寄る作品解説アプリの使用が可能で、これがなにを意味するかと言えば、館内でどうどうとスマホをいじれる。絵の前でもないのにメールチェックしただけで注意される美術館もある中、感想を書く際にとても助かるのだ。そもそもことわれば写真撮影も多くの作品で可能みたいだ。他のとこでも見習って欲しいなあ。









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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは 少佐さん

相変わらず 念入りな 描写力 別にわざわざ
行かなくても なんとなく 様子が伝わってきます
ところで 話は変わるのですが 今少しずつ 私の
マンガ が商品化に向けて進んでいるとこなんです
今の所 企画の段階で 具体的に どの様な 形に
なるかは 分からないのですけど 最低限のとこ
まずは Tシャツ あたりに なるかもしれません
決まったら お知らせ します
昔 遊びで 作ったこと ありますけど 今回は
私個人 ではなく 会社が 絡んできます

どうなるか 果たして (お金)になるか 今か
ら不安と期待が 混じって 複雑な思いです・・・

苦節何十年の 悲願です・・・
私の絵が 金に なるなんって・・・
winter
2014/05/05 16:53
winterさん
コメントありがとうございます。しつこい描写、楽しんで頂けてなによりです。
作品が製品化ですか? よかったですね。どんなだろ?
少佐
2014/05/05 18:01
こんばんは 少佐さん

ホントの事言うと 私は もう ”絵”なんか
どうでもいいと 思っているのですよ

今更 絵が 商品化されても何もうれしくも
なんともないです

市の芸術祭で”賞”を頂いたときもそうなん
ですが 何も 感じませんでした

もう過ぎた 過去の事 今更ってな具合です
これが 別に 生活が 掛かっているわけでも

ないし 別に 有名に なりたいとも 思って
いるのでもないし

私の最も”嫌悪”してる ”権威”や”権力”
その他 もろもろのことも あまり興味ない
のです・・・

ただの私の人生の”おまけ”程度の事です
歪んだ 人生観 かも知れないですけど

わたしの 本音 です・・・
winter
2014/05/06 23:18
winterさん
芸術にセオリーはありません。金目当てにやっつけで作ったものが最高評価を得たり、自分ではちっとも好きでないのに世間では代表作になってまた同じようなものを求められる。そして自分が本当に納得いくものを模索している内に命が尽きてしまう。作品は残り続ける。そんな事はいつの世も普通に起きています。
だから、自分の本当の姿はこうでなくてはいけないなんて思うのは無駄なことなのかもしれませんね。作った作品はもう自分から独立したもの。誰かが喜んでくれればそれでいい。自然体でいいと思いますよ。
って、話噛み合ってますかね?
少佐
2014/05/07 23:26

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