少佐の記憶-Memoirs of a major-

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zoom RSS アンリ・ルソーから始まる - 素朴派とアウトサイダーズの世界(世田谷美術館)

<<   作成日時 : 2013/09/29 20:48   >>

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 定義付けなどに興味はないが、アンリ・ルソーをアール・ブリュットに含めるのはかなり異論も出るだろう。ルソーがアウトサイダーであったのは確かだ。だがアウトサイダー・アートの厳格な(もしくはギョーカイの身勝手な)定義からすれば、外の世界と完全隔離されて純粋培養下での独自世界を作ったわけではない。

 彼は彼なりに(心の)師を持って古典絵画の勉強をしていた。天然だけど天然ではない。その一方、素朴派と呼ばれる彼のフォロワーは、ウケ狙いが透けて見えるのでいわば整形偽乳美女である。それらに価値がないとは言わないがルソーの天然さ、つまりルソー本人は大真面目なんだけどまわりからはどう見ても天然にしか見えない計算のなさ(そういうのを天然と言うのかw)とはかけ離れているややこしいですかすいません。


 もう二度と来るもんかと啖呵を切ったはずの世田谷美術館。だが注目すべき企画展があればいつでも翻すこの変り身の速さ。三連休の最終日(9/23)の午後に行ったが、とても空いていた。予想はしていたけど。


アンリ・ルソー
《戦争》(『リマジエ』第二号) 1908年頃
 世田谷美術館所蔵のルソーはもう何度も見たので、入館直後に飾られていた数点もすぐにスルーしてしまった。これもふーんと行き過ぎようとして添えられたキャプションに「え?」と思わず二度見して戻ってきた。
 かの《戦争》制作後、雑誌に載せる用にリトグラフ版画として再制作されたものとのこと。こんなものがあったんだねえ。アンバーの地に黒一色。リソグラフだからデッサンに近い。こうしてシンプルな図柄で見ると、ルソーって意外にちゃんと描けているのがわかる(本人の手による下絵なんだろかという疑問はあるが)。よくバカにされる、馬にまたがる女性を描写できず、なんか横乗りみたいにしてるのも、別に描こうと思えば描けたんじゃないか? なにか彼なりの計算があったんじゃないかなと思えてきた(うっ、偽天然疑惑が…)。


 この企画展では、「余暇」「晩年」「放浪」「心の中」などのキーワードで「アウトサイダーズ」を区分けしている。絵を描き出した動機は人ぞれぞれ。余暇の暇つぶしあり、人生に疲れきった癒やしの求め、内なるエネルギーのとめどない表出(神からの声を聞いてしまった人もいる)etc


サー・ウィンストン・S・チャーチル
《ループ・リヴァーの淵》 1930年
 あのチャーチルさんが絵なんか描いてたんだね! ノーベル文学賞も貰ってたとは知らなんだ。才能ある人だったんだなあ(まあノーベル賞とかって政治的な思惑も絡むんだけど)。隠居した政治家がお遍路したり陶芸したり蕎麦打ったりするようなものか。画材は油彩だが、水彩画風に英国田園風景を描いている。うまいとかヘタとかよりも、セラピー感が満点だ。


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 グランマなんとかいうおばあちゃん画家が二人いらした。「がばいばあちゃん」みたいなものか?

グランマ・モーゼス
《川を渡っておばあちゃんの家へ》 1944年
 これ、ブリューゲルのパクリじゃないのか? ばあちゃん…。


ビル・トレイラー
《人と犬のいる家》 制作年不詳
 ポスターで使用された今回の看板作品。平面的なおうちの前に影絵のような犬と屋根の上にはシルクハットのおじさんがいて空を指さしている。家の中では女性(スカート履いてる?)が踊ってる?楽器を演奏してる?…どうってことはないんだが、不思議な味がある。影絵というか、有史以前に洞窟で描かれた絵みたい(ラスコー洞窟の壁画)。影絵の男が浮いてるとすればシャガールでもあるか。他の作品も見てみたい。その上で評価したい。


ミーヨ・コヴァチッチ
《焼き物師》 1962年
 これぞ影絵じゃん! ガラスに描いてるあたり、藤城清治のパクリ? どっちが先だ? ユーゴスラヴィアの伝統文化?


セラフィーヌ・ルイ
《枝》1930年
 この人のDVD見た! 神からの啓示を受けた霊媒みたいな画家。映画で見た記憶では強烈な生命エネルギーを放つ植物画を描いていた。ここに飾られたのはやや迫力に欠けるような気もした。ちょっとちっちゃいしね。
 自分でなんやらかんやら混ぜてオリジナルの絵の具作って描いてた人らしいが、この作品は普通に油彩みたいだな。ぶっ飛んだやつ見てみたいものだ。




草間彌生
《ねぐらにかえる魂》 1975年
 樹木希林じゃない人。幻覚を見る人だったんだ。集められた梟の目玉は水玉と同じ。なんか怖い。これからはあの一見平和そうに見える水玉を見る目が変わりそうだ。

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 ただこれ写真のコラージュなんだよな。そばで見てたご夫婦が「すごい描写力だな」と感心されていた。「コラですよー!」と思わず叫びたくなった。


 最後の方の「心の中」コーナーはもうかなりイッちゃってるのが多くて、金取ってこれはないんじゃないかなあ?と思った(それだけかい)。


 総じて、文中に書いたように、アウトサイダーさんたちの本領発揮フルパワーの作品はそれほどなかった気がする。彼らがメジャーになることはあまりないとは思うが、ヘンリー・ダーガーみたいに、ドーンと特集される機会がもうちょっと増えればと思う。海外はもうブームは終わってるのではと思うけど、日本ではまだまだじゃないかな。







翻訳本はKindle化されてないのよね(なりそうにないけど)。原書読めるかな。
*今はもうKindle化されてます

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