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zoom RSS モーリス・ドニ ― いのちの輝き、子どものいる風景(損保ジャパン東郷青児美術館)

<<   作成日時 : 2011/11/06 13:27   >>

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 知らない画家だし、ポスターの作品もそれほど気に留める程でもなかった。興味を持ったのはNHKの「日曜美術館」で取り上げられ、ゲストにあの荒木飛呂彦大先生が出てきたからに他ならない。荒木氏が元々ドニのファンであったかは定かでないが、その絵のありえない色使いにほれぼれと熱弁を振るうその姿に思わず乗っかってしまった。


 前日もやや大きい地震がまたあったため、あんまり高いビルに登るのは気が進まないままええいままよと訪れた新宿の損保ジャパンビル42階。去年の「自画像コレクション」以来か。


《ジャン=ポール、2ヶ月》 1894年
 まあその名の通り家族の肖像ばっかりである。誰かの家に行って延々家族のビデオを見せられ続けるのは拷問に近いとよく言われるが、一流の芸術家の手によるものであればそれも許されるのか。この絵もただの元気いっぱいの赤ちゃんだが、見る人見る人(やはり奥さま方が中心だけど)、「んまっ、かわあい〜〜♪((o(´∀`)o))」と大激賞であった。

《ジャン=ポール、2ヶ月》 1894年
 でも、なんということか、このジャン君は亡くなってしまう。例え身内の悲劇でもネタにしてしまうのが芸術家の性だろうが、B5サイズほどの、他のジャンを描いた作品に比べあまりに小さな画面に描いたことが画家の心象をまず物語っている。ベビーベッドに寝かされた小さな躯。布にくるまれ体は見えないが、ヘッドボードの一部がギラリと光っているのに気付く。灯された蝋燭なのか窓から差し込む夕日なのかはわからない。ただ魂の復活が込められているかのように輝く。
 この絵の雰囲気はピカソの「カザジェマスの死」に似てるかもと思った(こっちの方が時代先だけど)。ドニの作風はいずれにしろ「青の時代」みたいに単調な色を基調に展開させていくようだ。心の師匠はゴーギャンらしいけどね。


《子どもの身づくろい》 1899年
 スイカみたいな柄の服を着た奥さまが(スイカ夫人と呼んでおこう)スポンジで子供の体を拭いているの図らしい。ママと赤ちゃんの頭とあんよのラインと広げた両肘のラインが交錯し斜めの十字架を象っている。なんて深読みをするとついでに両肩からちょうど天使の翼が生えているようにも見えてくるのだが。まあこんな密かなたくらみ、ダ・ヴィンチならやるかも知れないがドニはどうでしょね? いずれにしろ、ドニの家族画はどんどん聖家族の様相を成していく。

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《画家が夫人に贈った子どもたちの乳歯のネックレス》 1909年
 これは絵でなく、子どもたちの抜けた乳歯で作ったネックレス実物。おフランスじゃこんな風習があるのかね? 歯が抜けたら屋根に投げるんだぞ!


《バルコニーの子どもたち、ヴェニスにて》 1907年
 NHKで荒木画伯も激賞していた、傑作。テレビ画面で観ていたものと次元の違う美しさ。ちなみにこの美術館、傑作と思われる作品の前には長椅子が置かれていて、座ってじっくり眺めることが出来た。粋な心遣い(なのかな?)。
 ピンクとグリーンの塗り分けられたツートンカラーベース。しかしどんな強烈な陽の光があたっても着ている服にこんな風な反射はしない(笑)。画家の作為だ。ちなみにこの作品の元になった子どもたちのスナップ写真が現存し隣に置かれており、人の配置やポーズをかなり再構成しているのがよくわかる。
 ドニは窓から見える景色を背景に人物を描くことが多いようだ。逆にフェルメールは窓から光だけを採用し絵の中の人物に窓の外を覗かせるのみで窓の外の世界を我々に見せることはない。小部屋の小宇宙に見るものをも閉じ込める。窓の外を描くと「デルフトの眺望」なんだろうけど。何が言いたいのか自分でもよく分からないが、ふと頭に浮かんだので書き記しておく。


《光の船》 1931年
 こんなでかかったのかよ。意表をつくまんまるのキャンバス。見てると船酔しそうだ。舟に乗る若人たち。ピンクの筋斗雲に乗ってる聖母様。ちょっとマンガっぽいかな。でもむしろ現代性を予見しているのかも知れない。


《スパニエル犬のいる浜辺(1)》 1903年
 家族で過ごしたビーチでの思い出? しかしなんで(ドニのご家族以外)みんな素っ裸なんだろうね。ヌーディストビーチなのか? この世界観はポール・デルヴォーみたいだよ。

 ちなみに「第3章:家族の肖像」のコーナーでは、絵を壁の上下にも飾っていた。海外の美術館ではよく見る配置だが(行ったことないからほんとのところは知らないけど)、日本では絵を上下に並べることは稀だ。より家族のスナップ写真アルバムみたいにみせる工夫だったのだろうか。損保ジャパンさん、いろいろ考えてるのかな。


 それほど期待はしていなかったのに、だいぶ楽しめた。子供の顔が多く、最後は宗教画に至るあたり、フジタを思わせるところもあった。13日まで。これを逃しても来年山梨に巡回するよ!









Maurice Denis: Earthly Paradise 1870-1943
Editions de La Reunion Des Musees Nationaux


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